AIG 事業構造スリム化に成功、政府保有株もほぼゼロ

今注目の米国株! 連載


バリュー・プラクティス氏の米国現地報告 今注目の米国株!

1月第3週から本格化した業績発表では、主に金融大手による予想以上の実績を受け、株式市場による反応も良好だ。S&P500指数は52週の高値水準で推移している。ヘッジファンドのような足の速い投資家による利食い売りの動きが聞かれているものの、中国景気や米住宅市場による回復サインを背景に、年金や投資信託による買い需要がしっかりとみられている。

この中、今回推奨したいのはAIG(AIG)である。同社は日本でも事業を展開しており、すでに認知度は高いと思われる。2007年までの住宅バブルの中、同社はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)へのエクスポージャーを大幅に増やし、倒産寸前にまで追い込まれた。しかし、米政府による公的支援を受け、一時政府による保有株比率は92%程にまで上昇していた。著名投資家ウォレン・バフェット氏が〝金融版の大量破壊兵器〟と呼んだこのCDSを扱っていた企業に対するイメージは良くないかもしれないが、このCDSを扱っていたのは2つの小さな金融部門であり、昨年までにこの事業からはほぼすべて撤退。現在は損保業と生命保険業へのフォーカスを強めている。

これまでは、このCDSを扱っていた金融部門の縮小に加え、事業構造スリム化、および公的支援返済を目指した事業売却などを行ってきたために、保険事業による足元の決算実績は競合他社を下回る水準である。しかし、政府による株式保有は昨年12月でほぼゼロとなり、残りの売却事業も航空機リース事業を残すのみとなっている中、今後の業績回復には期待できる。また、過去数年、営業損失を計上してきた同社は向こう数年間の税金支払いを回避できる。これを背景とした同社の流動性はかなりのものであり、競争力の強化、課税有価証券への投資増加などを通じてリターンの改善に期待できよう。

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