取材の現場 トヨタの「JPNタクシーコンセプト」

取材の現場から 連載


東京オリンピックでタクシーが変わる

「第43回 東京モーターショー2013」会社資料

「第43回 東京モーターショー2013」会社資料

東京オリンピックの運営を担う組織委員会は4月1日、事務局職員を倍増。本格的な準備作業に入った。2日にはIOC(国際オリンピック委員会)事務局幹部が来日し、折衝などを始めている。

組織委員会役員を見ると、副会長にトヨタ(7203)の豊田章男社長、理事にデンソー(6902)の小林耕士副社長と、トヨタグループから役員を2人出している。豊田社長は経団連でスポーツ推進委員会の委員長を務め、既に財界のオリンピック担当となっている。東京五輪に対するトヨタの意気込みがうかがわれる。

トヨタは何をやろうとしているのだろうか。これが単なる道楽だとすれば、上場企業として由々しき問題と指摘せざるを得ない。巷間(こうかん)、ささやかれているのは、開会式で燃料電池車(FCV)や自動運転車のパレードを行い、日本の先端技術のデモンストレーションを行うというもの。実際、選手村を中心に新交通システムを構築し、渋滞や事故を防ぐ構想も浮上している。

ところがトヨタ関係者によれば、もっとビジネスと直結する取り組みを考えているという。

トヨタ(7203) 週足

トヨタ(7203) 週足

「オリンピックを契機に、東京の街並みをトヨタのタクシーで変える。都市の景観に対し、タクシーは意外に強い影響力を持っている。ニューヨークのイエローキャブしかり、ロンドンのロンドンタクシーしかりだ。それぞれ、街のアイコンになっている。トヨタが開発する五輪仕様のタクシーを東京で走らせ、新たな街並みを世界中に発信する」

トヨタは既にその布石を打っている。昨年の東京モーターショーで、次世代タクシー「JPNタクシーコンセプト」を公表。これをベースに、五輪タクシーを提供していくのだという。

日産(7201)は、既にタクシー用のセドリックY31の製造中止を決めている。国内タクシー試乗では、しばらくトヨタの独壇場となる。それをアピールする五輪タクシーは、国内の新たな需要創出になるかもしれない。

ところでその日産、国内ではタクシーから撤退する考えを示しているが、一方で、ニューヨーク市から次世代タクシーの供給会社に選定されている。グローバル商用車として開発したNV200を、イエローキャブとして供給していくという。ロンドンでもタクシー販売計画を打ち出している。将来のEV(電気自動車)タクシー普及を見越した日産の戦略なのだ。

日産に対しては地元から異論が出ているようだが、いずれにしても、日米欧で日本のクルマがタクシーの主流になり、各街々の景観づくりリードする存在になっていただきたい。

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