取材の現場から 放射能セシウム問題 原発事故の後始末が続く

取材の現場から 連載


琵琶湖畔に放射能セシウムに汚染された木材チップが放置された問題で、滋賀県は3月4日、不法投棄に関わったコンサルタント会社社長ら3人を刑事告発した。

東京電力(9501) 週足

東京電力(9501) 週足

この木材チップはもともと、福島の製材業者の商品で、原発事故で放射能汚染したため、東京電力(9501)から処理費用と賠償金を得て、処分したはずだったもの。それがなぜか、琵琶湖畔に半年間放置された。

放射能を帯びているとはいうが、基準値は大幅に下回っており、そのこと自体は違法ではない。ただ、河川敷に大量投棄したので、河川法および廃棄物処理法違反での告発となった。

なぜ、こんなことが起きたのか。琵琶湖のある滋賀県といえば、卒原発を唱える嘉田知事がいる。そのため、「反原発もしくは原発推進勢力による陰謀ではないか」というウワサも立った。

しかし、関係者は、そうした意図を否定する。

「滋賀に投棄したのは、処分を請け負った業者の身内がそこに土地を持っていたからにすぎない。ただ、滋賀だったので、うわさがうわさを呼び、悪目立ちしてしまった」

現在、滋賀県警が捜査中だが、捜査関係者によれば、「容疑者が東京におり、鹿児島や福島も経由した案件なので、捜査には相当時間が掛かる」という。事件の実態や背景が明らかになるのは先になるようだ。

そもそもこの事件は、放射能被害を受けた福島の廃棄物がめぐりめぐって琵琶湖に到達したというもの。なぜこんなことになったのか。関係者は次のように言う。

「容疑者のコンサルタントは、東大卒の元郵政官僚。東大の人脈を使い、東京電力にいる同窓生から、放射能被害を受けて賠償請求している事業者の所在地を教えてもらったという。その情報をもとに直接、被災企業にアプローチし、処理費用や賠償金の申請代行を申し出た。これにより、賠償費用の一部を自らのコンサル料収入にするスキームだった」

原発賠償ビジネスというわけだ。ただ、同コンサルタントは、廃棄するべき木材チップの処分を行わず、商品として転売することを模索したとみられている。その経緯で、琵琶湖に一時保管することになり、それが事件化してしまったということのようだ。

「原発事故の後始末には、怪しげな勢力が水面下で動いており、巨額の利権を手にしている」なんていう都市伝説がちまたではささやかれているが、今回の琵琶湖の案件は、そんな実態の一部を明らかにするものになるかもしれない。

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