特報 マルマン 上場来3回目の監査法人交代

特報 連載


さまざまな投資家が見え隠れ 大株主も複雑に流転

2月28日、マルマン(7834・JQ)が監査法人の交代を発表した。9月決算のこの会社、第1四半期の短信と四半期報告書の提出期限は2月14日だったが、担当監査法人である新日本と“もめた”らしく、短信と四半期報告書の提出を延期。2月13日付で監理銘柄(確認中)の指定を受けている。

28日の発表は新日本に代わる一時監査人が清和監査法人に決まった、というもので、3月14日までには第1四半期の短信を発表し、四半期報告書を提出する、としている。

前期(2013年9月期)までは、今回一時監査人を務める清和が監査を行っていた。新日本は今期からだったのだが、第1四半期からいきなりもめたことになる。同社のリリースによれば、「資産項目の期首残高及び平成26年9月期第1四半期における勘定科目全般の妥当性等に関する質問を受けているが、それらを適時に対応することが困難であると判断」したとある。

この会社、監査法人の交代は上場以来これで3回目。マルマンはゴルフクラブと健康食品の会社である。創業は1950年だから会社の歴史はけっこう長い。創業者の片山豊氏は、片山さつき参議院議員の夫・片山龍太郎氏の父親である。創業当時は時計バンドを作っていたが、ガスライター、ゴルフクラブへと事業を拡大。ゴルフトーナメントをやっていた時期もあるので、ゴルフ界では老舗企業だ。

また、ゴルフをやらない50代以上の人に、禁煙パイポを作っていた会社と言えば、小指を立てて、「ああ、あのコレで会社辞めたっていうCMの会社」という反応が返ってくるはずだ。

バブル崩壊後は経営が傾き、あのSFCGの大島健伸氏代表のプライベートファンド傘下に入ったのが2001年。上場は05年7月で、上場時点の筆頭株主は大島氏傘下のT・ZONEホールディングス。約67%を保有していた。

この67%の株式が、09年2月のSFCGの民事再生申立を機に二手に分かれていく。まずSFCGの民事再生申立当時、マルマン株式を直接保有していたのは、T・ZONEあらためMAGねっとホールディングス(8073・JQ)。このMAGねっと保有分の67%のうち、37%弱が、担保権の実行によってSFCGの債権者だった日本振興銀行へ移る。振興銀に移った約37%弱の株式のうち、18%弱が振興銀グループ各社の名義に代わり、この18%弱がクレストインベストメントなるファンドに移ったのが10年11月。

このクレストインベストメントの保有株18%弱を、ITJ法律事務所の戸田泉弁護士が買い取ったのが11年11月で、それまでの所有分と合計で22.74%保有の第2位株主になった。戸田弁護士は積極的な投資活動を展開していることで有名な弁護士である。

一方、MAGねっとが持っていた残り30%強は、SFCGの破産管財人の手を経てコスモ&カンパニーなる投資会社に転売される。このコスモグループ、経営者は韓国LG電子の共同創業者と姻戚関係にある。

さらに、振興銀自体が持っていた18%のうち、14%があの日産コンツェルンの末裔・鮎川純太氏が代表を務める中小企業共済に移り、コスモ&カンパニーがそれを買い取って33.33%を保有、筆頭株主に躍り出たのが11年夏だ。

要約すると、大島氏の支配下にあった67%の株が、現在の筆頭株主コスモ&カンパニーと戸田泉弁護士に11年夏から秋にかけて分散したというわけだ。

1年後の12年12月開催の定時株主総会では筆頭株主と第2位株主の間でプロキシーファイトが展開され、従来の役員を推す戸田弁護士側が敗退。役員はコスモ側の役員に入れ替わっており、現在の役員はコスモ側が推薦した役員だ。

3回にわたる監査法人の交代のうち、最初の交代は監査法人側の都合だった。上場当時、この会社の監査を担当していたのは中央青山。中央青山が業務停止処分を受けていた2カ月の間、監査法人不在の状態となったが、業務停止明け以降は再び中央青山あらためみすずが監査を担当。そのみすずが解散するため、07年9月期から明誠に交代した。これが1回目だ。

今回一時監査を担当する清和は09年9月期から。これが2回目である。前期まで5期担当し、今期から新日本に代わったばかりだった。新日本には中央青山・みすずの出身者も多数移籍しているので、因縁の間柄と言えなくもない。

新日本ともめたということからすると、第1四半期で何がしかの悪材料が飛び出す可能性は否定できない。

前期は滞留在庫の処分を実施して営業損益段階から赤字になり、投資有価証券の評価損も特損で立てた上に、7億円もの繰延税金資産の取り崩しもさせられ、最終赤字は13億円に膨らんでしまった。

ちなみに、本業のゴルフ事業は上場当時、70億円以上の売上高があったが、リーマン・ショック後に激減。13年9月期は44億円にとどまっている。

マルマンの業績推移

マルマンの業績推移(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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