取材の現場から 首座の現場から 消費税引き上げ対応“知恵比べ” 増税対応に4手法

取材の現場から 連載


4月1日の消費税の引き上げに向けて、各企業とも対応に追われている。今回は8%と10%への2段階引き上げなので、来年10月の引き上げも見越したシステム改編を行っている。システム関係では、NTTデータ(9613)もあるが、中小企業向けには大塚商会(4768)のような会社が会計や受発注伝票のシステム改編需要を享受しているようだ。

日清食品(2897) 週足

日清食品(2897) 週足

こうした事務的な改編作業は淡々とやるしかないのだが、企業にとって頭が痛いのは「価格改定」だろう。政府は、「消費税の円滑で適正な転嫁」を提唱しているが、現実の商売は一筋縄ではいかない。

日清食品HD(2897)は、カップ麺「ラ王」を4月7日に値下げする。「消費者の節約意識が高まることを見越して」と説明しているが、この値下げはニュースで取り上げられ、効率のいいプロモーションになると期待されている。〝損して得取れ〟を実践するものだ。

意地悪な向きは、「ラ王は値下げしても、ほかの商品で値上げして採算を取ることもできる」(流通アナリスト)と言う。ロイヤルHD(8179)が運営する「天丼てんや」は、主力の天丼並盛500円のワンコインを維持。実質値下げだが、ほかの商品は値上げ改定するので、トータルでつじつまを合せる方針のようだ。

イオン(8267)はPB(自社ブランド)商品の半数を価格据え置きにするという。残りの商品は量を減らしたり、増税で対応。さらに同社は、今後の消費は「節約」と「こだわり」の二極化が進むと説明しており、「こだわり」商品で価格据え置き分を回収する方針なのだろう。

企業コンサルタントらは消費増税対応として企業に対し、いくつかのアドバイスをしている。主だったものは、(1)量を減らして価格据え置き、(2)セット販売強化で客単価維持、(3)リニューアル商品投入で実質値上げ、(4)税別表示――といった内容。マクドナルド(2702・JQ)吉野家(9861)はこれらを複合的に組み合わせて、粗利維持を図るとみられている。

「先行値上げ」という手法も取られている。吉野家傘下の「はなまるうどん」は4月以降も価格据え置きするというが、11月に既に1%値上げしている。差し引きで4月は2%の値下げになるが、ちゃっかり3%先行値上げしている会社も結構あるようだ。「某社は11月に増量を理由に値上げし、4月以降は減量して価格維持している」(コンサルタント)という。

いかに消費者に気づかれずに増税転嫁するか、各社知恵を絞っている。

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