取材の現場から 嗜好品対決!? タバコvs酒 医薬品業界のもくろみは

取材の現場から 連載


サントリーが蒸留酒で米国最大手のビーム社を買収した。買収総額160億ドル(約1兆6,500億円)。食品業界の大型買収というとJT(2914)を想起させる。JTは1999年に約9,400億円でRJRナビスコのタバコ事業を買収し、2007年には約2兆2,000億円で英国の大手タバコ会社ギャラハー社を買収。海外大手をM&A(企業合併・買収)によって傘下に据え、グローバル戦略を進めるという点で、サントリーはJTを手本にしているという見方もある。

JT(2914) 週足

JT(2914) 週足

そのJTは、サントリーに対してちょっと複雑な思いがある。関係者はこうボヤく。

「酒とタバコは同じ嗜好(しこう)品なのに、社会的な扱いが大きく違う。タバコは、禁煙場所の拡大などで社会から締め出されている。害毒という点では、酒は家庭崩壊や自殺などの原因となっているが、タバコにはそこまでの害はない。なのに行政はタバコばかり悪者にする。どちらも多大な税金を支払っているにもかかわらず、だ」。

この流れをつくったのは、医薬品業界だというのがタバコ業界の〝常識”なのだという。

「アルコール依存症を直すクスリはないが、禁煙補助薬などは海外の大手医薬品メーカーが力を入れている。医薬品業界による世界的なプロパガンダでタバコがターゲットになっている」(同関係者)。

タバコの害が酒に比べて強調され、規制強化されているのは、巧妙かつ意図的な世論操作によるものだと言いたいようだ。

さて、サントリーは今回の大型買収をテコに、グローバル展開を進めることになる。今後の課題として浮上しているのは、中国市場だという。

「ビーム社は欧米では強い。しかし、弱いのは中国市場。中国では世界トップの英ディアジオと2位の仏ペルノ・リカールが先行している」

中国展開とともに、サントリーにとって、見逃せない課題がある。マリファナの解禁である。

今年、米コロラド州は嗜好品としてのマリファナを解禁した。それも踏まえてオバマ大統領は米誌のインタビューで、「マリファナがアルコールよりも危険だと思わない」と発言。マリファナ合法化が進むにつれ、酒の害がクローズアップされるかもしれない。

既にフィリップ・モリスはマリファナに使える商標を押さえている、との情報もある。マリファナが普及するようになれば、医薬品業界が参入する可能性も考えられる。もしかすると、タバコ業界と医薬品業界がタッグを組むかもしれない。そうなれば今度は、酒の危険性をアピールするプロパガンダが広まるのではという思惑も芽生えている。

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