特報 ダイエー下方修正でもなお懸念 連結対象としたイオンの手腕は

特報 連載


1月8日、ダイエー(8263)が業績予想の下方修正を発表した。売上高は従来予想を据え置いて8,180億円としたが、営業損益は10億円の黒字から一転60億円の赤字へと、70億円も下方修正した。

ただ、この数字も第3四半期までのペースからすると、果たして達成できるのかどうかといったところ。2014年2月期は、第3四半期までの累計売上高が6,078億円と、前年同期比で2.5%減。営業損益は79億1,500万円の赤字。前年同期が46億4,900万円の赤字だったので、赤字額は1.7倍に膨らんでいる。

ダイエー(8263) 月足

ダイエー(8263) 月足

今回の修正計画を達成するには、第4四半期で2,101億円の売上高と19億1,000万円の営業黒字を達成する必要がある。前期の第4四半期は2,107億円の売上高に19億6,000万円の営業黒字だったので、前期並みの数字を上げないと達成できない。

さらに、ダイエーは営業損益の計画を経常利益までしか公表していない。純益は第3四半期までの累計で既に191億円の赤字。ここからさらに積みあがるのかどうかが分からない。前期は通期で71億円の最終赤字だったのだが、それは特損が通期で56億円しかなかったからだ。今期は第3四半期までで既に99億円に達している。前期の第3四半期までの特損は25億円だった。

ダイエーの下方修正の影響は、最終的にイオン(8267)に影響を及ぼす。イオンは昨年8月の公開買い付けでダイエー株を44%まで買い増したので、9月からダイエーが連結対象に組み込まれている。つまり、今期の第3四半期からダイエーが連結対象になっている。

今のところイオンは業績予想を変えていない。イオンの連結売上予想は6兆円。ダイエーの7.5倍ある。営業利益予想は2,000億円-2,100億円と、やはりダイエーとはケタが違い、しかもハバがあるので営業利益で70億円程度の下方修正は吸収してしまう。

ただ、純益に関しては750億円の予想なので、ダイエーの特損が第4四半期で膨らめば影響を受ける。

ダイエーの不振は本業の小売りの不振にほかならない。創業者の中内功氏が1999年に会長に退いてから今年で15年。この間社長を務めた人の人数は現在の村井正平氏を含めて7人に上る。

2005年に産業活力再生法による再建を開始してから現在に至るまで、資産を売却して借金を減らしたこと以外の成果はほとんど上がっていないように見える。

中内時代の01年にローソンを売却、その後04年に福岡3点セットプラスプロ野球団、05年にフォルクス、05年から06年にかけてハワイの店舗をドン・キホーテに売却し、そして虎の子のOMCカードを08年に三井住友銀行に売却している。おかげで借金は減ったが、利益の柱だったOMCカードを失って赤字が常態化。この間のスポンサーが、丸紅だ。

肝心の本業の方はリストラに次ぐリストラで、毎期店舗閉鎖関連と減損で多額の特損を出してきた。07年が420億円、08年が174億円、09年が296億円、そして10年、11年は100億円以下になったが、12年で再び125億円に増え、昨年は22億円だったが今期はまた100億円台への復活はほぼ確実だ。

ダイエーは甲子園球場前に店舗を持っており、プロ野球シーズ中は観戦中の食糧を求めるタイガースファンで連日ごったがえす。1時間近いレジ待ちも珍しくない。

だが、当然のことながら、特定の店だけ繁盛しても意味がない。丸紅傘下では成果が上がらなかったダイエーの再建。イオンがどういう手腕を見せるのだろうか。

ダイエーの業績・財務・株価指標推移

ダイエーの業績・財務・株価指標推移(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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