取材の現場から 東電の法的処理は当面ない 銀行の東電融資は〝優良債権”

取材の現場から 連載


12月27日に東京電力(9501)は、「総合特別事業計画」を政府に提出。この計画をよりどころに主要金融機関11社は、5,000億円を東京電力に融資することとなった。

東電(9501) 週足

東電(9501) 週足

東京電力は廃炉や除染、賠償など資金がいくらあっても足りない。多額の融資をした金融機関は、既に東京電力と一蓮托生(いちれんたくしょう)。東電融資の存在が、銀行のリスクとなっている。

ところが、経産省OBは真逆の見方をしている。

「東京電力は事実上倒産。本来なら法的整理を行うべきだが、政府は東電を無理やり延命させている。銀行はそのことを十分承知している。つまり、東電融資は絶対に取りっぱぐれない。東電の資金が滞れば税金投入か、電気料金値上げで賄われるからだ。国民のお金は東電を通して、どんどん銀行の利益として流れる」

確かに政府は12月20日、東京電力の資金支援枠を拡大。除染費用の国費負担の方針を打ち出した。当面、東電の法的処理はない。それゆえ、東電融資はむしろ“優良債権”なのだという――。

さて、総合特別事業計画の大きな焦点として、新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働問題がある。東京電力は、来年7月に再稼働できれば1,000億円の経常黒字が見込めるが、再来年1月までずれ込むと100億円の赤字となり、再稼働できなければ800億円の大幅赤字になると試算している。赤字になれば、電気料金を引き上げて対応する。だから再稼働を認めるべきだ、と世論に訴えている。

柏崎刈羽の再稼働の一番のネックは、新潟県の泉田裕彦知事の存在だ。再稼働の条件として、福島原発の事故の検証と総括、地元の避難計画との整合を持たせた安全協定を提示している。

柏崎刈羽は、「ニューヨーク州のショーラム原発のケースに酷似している」とも言われる。同原発は、完成したものの、避難計画が不十分だとして州知事が避難計画を承認せず、一度も稼働せずに廃炉となった原発。柏崎刈羽も同じような途をたどる可能性があるといわれる。

「そのため、何としても再稼働させるため自民党は、水面下で知事の後援会や新潟県議、柏崎市議会、刈羽村議会の懐柔に動いている。また、泉田知事は経産省出身なので、経産の先輩OBがアプローチしている」(自民党議員)

国民からすれば、再稼働すれば電気料金の値上げは避けられる。しかし、安全・安心の面で不安がある。ところが、融資している金融機関は、どっちに転んでももうけられるという、非常にいいポジションをとっている。

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12月24日の本欄記事で、奥田碩トヨタ元会長が「トヨタとは切れているのではないか」と触れた。実際、来年1月の人事で担当秘書が外れる人事が公表されたが、奥田氏は来年3月末で国際協力銀行総裁を退任することが決まり、それに伴い、肩書はトヨタ相談役に復帰する見通しとなった。

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