取材の現場から 小泉・脱原発発言の深謀遠慮?

取材の現場から 連載


国際公共政策研究センターの活動予算も関係か

今年話題になった話題で、今もって謎なのは、小泉元首相の「脱原発」発言だ。何の思惑で、脱原発を唱えているのだろうか。「〝変人”の言うことだから」と切り捨てる向きもあるが、外交・安保にもかかわる問題だけに、「何らかの思惑があるに違いない」とみられている。

「ノーベル賞狙い」との見方もあるが、当初有力視されていた理由は、息子・小泉進次郎代議士が復興政務官に就任したので、その援護射撃ではないかという説。しかし、そもそも安倍政権に楯つく発言であり、息子にとってむしろ迷惑。

トヨタ(7203) 週足

トヨタ(7203) 週足

石油メジャーによる謀略説もあった。小泉氏はブッシュ前米大統領と昵懇(じっこん)。ブッシュ氏は石油会社を経営しており、当時のライス国務長官は元シェブロン役員。「ブッシュ政権は石油人脈」とも言われた。石油業界にとって、原子力は商売敵。そのため、「ロックフェラーの指示で、ブッシュにつながる小泉をけしかけたのではないか」とのトンデモ説も流れていた。

国際公共政策研究センター(CIPPS)に着目する向きもある。財界が設立した民間シンクタンクだが、「経団連会長だったトヨタ(7203)の奥田元会長が、小泉首相の功績をねぎらうために設立させた団体だ」(経団連職員)という。小泉氏がCIPPS顧問で、奥田氏は会長。そんなことから、「水素を燃料とするFCV(燃料電池車)を推進するトヨタが、電気を燃料とするEV(電気自動車)をつぶすために、脱原発を仕掛けている」という、ちょっと無理のある風説も出回っている。

CIPPSの役員を見ると、日立(6501)IHI(7013)など原発企業が名を連ねており、脱原発には違和感を覚える。ところが、小泉氏がオンカロの核処分場を視察した際には、三菱重工(7011)東芝(6502)、日立も同行していたそうで、こうなるともう、何が何だかよく分からない…。

いろいろ観測が流れているものの、小泉氏にはもはや政治的な影響力はない。奥田氏も今は国際協力銀行の総裁で、トヨタのバックアップは受けていないようだ。

「トヨタは奥田に秘書を1人つけていた。しかし、それも年内で終わらせるようだ。11月25日に行われた豊田英二さんのお別れの会には、小泉はきていたが、奥田の姿は見られなかった。奥田は既にトヨタとは切れているのではないか」(自動車担当記者)。

実は、CIPPSの活動予算が今年度で途絶える。そのため、小泉氏の脱原発発言は、CIPPSの予算取りのパフォーマンスというのが妥当かもしれない。

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