【深層】を読む 個人“待機資金”の動向も焦点 MRF残高、10兆円に迫る

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消費税絡みで来春頃調整も

アベノミクスに始まった2013年相場も、残すは後5営業日となった。今年の相場を振り返ると、前半は文句なしのブル相場だったが、5月後半から様相が変化し、その後、秋口までは三角もちあいの往来相場。年末にかけて再び上昇局面が訪れ、このまま行けば、近年まれに見る上昇相場だったことになりそうだ。需給面からは、疑いの余地なく外国人投資家の大量買い越しが相場を押し上げた。一方で、個人投資家はもとより、年金資金などの機関投資家を含めて国内投資家は多くが売り越した1年だった。

14年の日本株相場を展望するにあたって、やはり需給面から外国人投資家の買い越し基調が続くかどうかが最大のテーマになりそうだ。外国人投資家が買うためには、企業業績の好転が続くことや、日銀の金融緩和姿勢が継続されるか強化されること、そして何よりも日本の景気が上向くことが大事だ。今年以上に買ってもらうには、企業業績にしろ、景気にしろ、「より好転する」というシグナルが重要になるとみている。企業業績については、どうしても今年よりは変化率は鈍化するだろうから、実績面で足元を固めつつ、その上に、いかに規模的にも上積みできるかが勝負になるだろう。また、景気については、気持ちだけ先行するのではなく、政府・日銀が目指しているデフレ脱却を数値的にも達成することが求められてくるだろう。外国人の投資態度は他国市場との比較感によっても左右されるので、為替市場の動向はもちろんのこと、少なくとも日本株市場が他先進国以上に先高期待を集めることができるかどうか、そして新興国以上の安定感を示せるかどうかにも注意しておきたい。

今年末で株式や投信の配当や譲渡所得などの10%軽減税率が廃止され、証券軽減税制が終了することを受け、個人投資家からの売りが秋口から、かなり出ている。投資信託協会から発表された概況によると、「マネー・リザーブ・ファンド」(MRF)と呼ばれるファンドの純資産残高が9兆7,656億円と過去最高になった。これは明らかに、譲渡課税引き上げを目前にした個人投資家からの売却資金が、来年からの日本版ISA(NISA=少額投資非課税制度)開始を控えて、現金類似の流動資産として証券会社の口座に待機していることを示唆している。9兆7,000億円の全てがNISAになだれ込むとまでは言わないが、かなりの規模の資金がNISA待ちで待機していると考えれば、年明けの相場への期待感も高まらざるを得ない。ちなみに、日本株式の年内受け渡しの最終売買日は12月25日で、この日を最後に証券軽減税率が終了する。そして翌日、12月26日約定からNISA口座が開始される。つまり、実際の相場としては、「NISA買い」が入るのは、来年からではなく12月26日からと認識しておきたい。

来年の相場を見渡す点で、最大のリスク要因は4月の消費増税の影響だろう。消費増税は初めての体験ではないが、前回の増税は景気にかなりのダメージを与えてしまった。その記憶が残っているだけに、駆け込み需要が見込まれる3月はともかく、4月以降、特に増税後の景気動向に関する経済指標が出てくる5月以降には、不安が残る。相場はそういった事象を先読みするので、春相場は、先行き不透明感から調整含みの展開になることを覚悟しておくべきかもしれない。

アベノミクス第二幕の相場が14年に訪れるのかどうかは、誰にも分からない。しかし、現時点で予想されるさまざまな要因について考えをめぐらせておくには、年末・年始の休みは重宝する。ぜひ有効に時間を生かしてほしい。

※参考サイト「投信の『待機資金』、過去最高の9・7兆円に 11月(日経、12月12日)

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