取材の現場 歌手「佑多田三斗」メジャーデビュー 時価総額1,048億円の応援団

取材の現場から 連載


雇用規制緩和推進の応援歌に

YouTubeを見ていたら、ある動画が見つかった。それは、ある歌手のプロモーション・ビデオ(PV)なのだが、映像を見ていくとさまざまな会社の経営者が登場している。パソナグループ(2168)の南部靖之代表、フルキャストHD(4848)創業者の平野岳史氏、ネクシィーズ(4346)の近藤太香巳社長、エスプール(2471・JQ)の浦上壮平会長兼社長らが、その歌手と2ショットで登場。各人、応援メッセージを書いた色紙を持っている。そのほかにも、鉄人化計画(2404・東マ)やサイバードHD、会計ソフトのソリマチといった会社の名前もPVには出てくる。

これは、何なのか?

佑多田三斗氏このPVは、佑多田三斗(写真)という歌手のメジャーデビュー曲。佑多田はインディーズ時代に、「サブプライム哀歌」という歌で2009年の日本有線大賞奨励賞を受賞しているが、世間的には無名歌手だ。

なぜこれら企業の社長がPVに登場しているのかというと、佑多田自身がベンチャー企業の経営者だったからだ。もともと、ベンチャー経営者のネットワークで知り合った面々なのだという。フェイス(4295)とも交流があり、その関係で今回のCDはフェイス傘下の日本コロムビア(6791)から出すことになったそうだ。

佑多田の会社は3年ほど前に倒産している。負債総額は2億4,000万円。その後、会社経営で再起を期すのではなく、インディーズでの実績も踏まえ、歌手を目指すことになった。

もともと佑多田はアイドル歌手を目指していた。高校時代には堀越学園に通い、芸能活動を行ってきたが、芽が出ずに断念。その後、ITベンチャーを起業し、ITバブル時代を突っ走っていたのだが、倒産を機に、あらためて子どものころの夢に再チャレンジすることになったのだ。

PVに出た経営者陣は、佑多田の再チャレンジに際して、ベネフィット・ワン(2412・2部)の白石徳生社長が音頭をとって「応援する会」を立ち上げ、それに賛同した面々なのだという。

パソナ(2168) 週足

パソナ(2168) 週足

ところで、応援会社を見ると、パソナグループやフルキャストといった人材派遣関連の会社が多い。現在、アベノミクス第3の矢として雇用規制の緩和に関する議論が行われている。

「人材業界は、パソナ会長の竹中平蔵を通じて、雇用規制の緩和を求めている。経団連も同じスタンスで要望している。野党は反対しているが、安定多数を誇る自民など与党は、来春のベアと並行して、雇用規制緩和を強行にでも行う意欲がある」(政治部デスク)

となると佑多田の曲は、雇用規制緩和推進の応援歌になるのか?「再チャレンジ」という点では安倍政権の政策にも合致している部分がある。

まあ、その前に売れなければならないわけで、PVに登場した経営者がその底力を見せるか否か――。日本コロムビアをはじめ応援する上場企業の時価総額を単純合算すると約1,048億円だ。

戻る