取材の現場から 自動車関連税で激しい綱引き 軽自動車と高級車増税案は先送り?

取材の現場から 連載


年末恒例の税制改正に向けた動きが活発化してきた。当初は法人税の実効税率がクローズアップされたが、ここへきて自動車関連税が注目されている。関係各者の利害が絡み合い、どう決着するか見物だ。

スズキ(7269) 週足

スズキ(7269) 週足

総務省は、軽自動車と高級車を増税する案を提示。自動車業界は猛反発しているが、総務省は強気の構え。というのも、自民党税調と財務省が味方についているからだ。

自動車業界はここ数年、自動車の「取得税」と「重量税」の撤廃を求めてきた。その結果、今年1月に取得税の撤廃を勝ち取った。消費税が10%になる2015年に廃止する。

取得税の税収は、ざっと2,000億円。これは地方公共団体の重要な財源なので、全国の知事や市町村長が猛反発。そこで与党税調は、税制改正大綱で「地方財政には影響を及ぼさない」と盛り込んだ。この文言を根拠に総務省は、今回の増税案を取りまとめた。「与党税調のお墨付きがある」というわけである。増税については、財務省に異論はない。

これにスズキ(7269)は「弱い者いじめだ」と猛反発。ダイハツ(7262)も親会社のトヨタ(7203)と一緒になって反対していくという。ホンダ(7267)は今、軽のNシリーズが好調。日産(7201)は三菱(7211)と共同で軽自動車事業を強化中。業界は一枚岩で総務省案に対抗する。自民党税調には額賀福志郎代議士など、自動車業界と近い議員も多い。公明党も理解を示している。業界は政治力で巻き返しを図る方針だ。

「総務省も自動車業界の政治力は承知しており、軽増税に対する世論の反発の強さも心得ている。そこで次善の策として、国税である重量税の一部で不足する地方税を賄うという落としどころを狙っている」(総務省担当記者)

ところが、これには財務省は反対。国の財源が減るからだ。ちなみに、自動車業界は「重量税も撤廃すべし」と主張しており、重量税の使途を広げることは許さない。このように各所の利害が絡まっており、痛み分けも難しい状態。

「こういう場合は、先送りするのが常套(じょうとう)手段だ。取得税撤廃を15年10月にすれば、来年の税制改正でも間に合う」(永田町筋)。

自動車業界は消費税8%に合わせて、取得税を3%引き下げるよう、政府に求めている。しかし、取得税の穴埋め財源問題が決着しなければ、来春の3%引き下げも先送りになりかねない。自民党政権も「決められない政治」のようだ。

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