取材の現場から ウェッジHDへの課徴金納付命令問題 著名弁護士が登場で長期戦か

取材の現場から 連載


ウェッジHD(2388) 週足

ウェッジHD(2388) 週足

証券取引等監視委員会(SESC)は、ウェッジHD(2388・JQ)の株価をつり上げたとして、投資会社「アジア・パートナーシップ・ファンド」(APF)の実質的な代表者に対し、約40億円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告。SESCによれば、「8億円に満たない資金をAPFグループ内で循環させるなどして仮装」したのだという。

APFは五輪選手を広告塔に使って話題になった会社だが、そもそも世間にその名が知られたのは昭和ゴム(現・昭和HD/5103・2部)のオーナーとして登場してからだ。そのときの出資金が架空増資ではないかと言われ、SESCは2010年6月に強制捜査。東京、千葉、大阪、熊本など全国47か所を家宅捜索する大掛かりなものだった。

「SESCは昭和HDの案件を刑事告発するつもりで、東京地検特捜部に持ち込んだ。SESCは資金循環による架空増資と主張したが、特捜は『これでは公判維持できない』と難色を示した。資金は循環しているものの、その期間が長く、複数の会社をめぐっているため、資金循環が認定し難いことが理由だった」(司法クラブ記者)

そこでSESCは昭和HDよりも循環が簡易なウェッジにターゲットを替え、刑事告発ではなく、課徴金の勧告に方針転換したらしい。

「この勧告にも、難色を示す声もあった。しかし、派手にガサ入れした昭和HDの案件を断念した以上、SESCは威信を保つため、何らかの処分を出さねばならない。そこで、やむなくウェッジの勧告に踏み切った」(前出・記者)。

この事件は長引きそうだ。12月20日に課徴金勧告に関する審判が行われる。ウェッジや昭和HDのリリースを見ると、「適切だったことを証明する」とし、審判で異議を申し立てるだけでなく、場合によっては裁判で争う意思を示している。

SESCによる勧告は9月17日に共同通信と産経新聞がスクープ報道しているが、APFは即提訴。1100万円の損害賠償を求めている。APF側の弁護士は、足利事件で冤罪(えんざい)を勝ち取り、最近ではパソコン遠隔操作事件の冤罪も訴えている佐藤博史弁護士。この訴訟にあたっては東京地裁でわざわざ会見を開くほどの力の入れようだ。

SESCの勧告でも佐藤弁護士が担当するとみられる。当然、容疑の不当さを強く訴えるだろうから、金融庁やSESCも長期戦を覚悟せねばなるまい。

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