取材の現場から 経済学者 高橋洋一氏の影響力 銀行が泣き、証券が笑う政策か

取材の現場から 連載


野村HD(8604) 日足

野村HD(8604) 日足

 「安倍ノミクス」が始動する。この政策は賛否両論だが、国会では圧倒的多数が賛成だ。維新の会もみんなの党も同様のリフレ政策を支持しているからだ。それもそのはずで、この政策を推進してきたキーマンは、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏。バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長の〝弟子〟としても知られている人物。

 高橋氏は大阪市特別顧問で、橋下徹大阪市長のブレーン。そして、みんなの党のブレーンでもある。もともとは、みんなの党の渡辺喜美代表が旧安倍内閣で規制改革担当相、福田内閣で金融相を務めた際、高橋氏が指南役を担っていた。だから両党とも、経済金融政策の根っこは安倍政権と変わらない。民主党にも、高橋氏の政策に共鳴する議員は多い。

 高橋氏と安倍首相の関係についてだが、「選挙前の党首討論の前に安倍は、必ず高橋さんに電話を入れ、何を言えばいいかアドバイスを受け、その通り喋っていた」(安倍側近)と言われるほどの影響力を持っている。また、12月23日のテレビ番組で安倍氏は日銀法改正に言及したが、これに呼応してみんなの党は、27日に日銀法改正案を国会に提出した。みんなの党の改正案にも高橋氏は関わっている。ロシア帝国に影響を与えた「怪僧ラスプーチン並みの影響力だ」と評する向きもある。

三菱UFJ(8306) 日足

三菱UFJ(8306) 日足

 安倍ノミクスに対する専門家の評価を見ると、「景気を回復させる」vs「副作用の方が大きい」と二分している。だが、いろいろ議論を見てみると、両陣営には共通点がある。それは金融商品や現物資産への投資の活況だ。高橋氏は、緩和で円高と株高が半年以内に起こるという。リフレ慎重派は、緩和資金は行き場を失い、国債以外の債券や株、商品、不動産に流れると予想している。だとすれば、どっちに転んでも証券業界にはプラスなのではないか?

 安倍ノミクスが推進側の思惑通りになれば、どの銘柄にとってもプラスなのだろうが、慎重派が言うような副作用が強ければ、国債価格が暴落するということだから、銀行は大きなダメージを受ける。安倍ノミクスは銀行が泣き、証券が笑う政策になるのかもしれない。野村(8604)や大和(8601)にとっては良い流れだが、三井住友(8316)や三菱UFJ(8306)、みずほ(8411)など銀行には悩ましい展開になる。

 東証と大証が統合し、日本取引所グループ(8697)が誕生したが、高橋洋一氏の政策は、新取引所のスタートダッシュには寄与することになりそうだ。

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