取材の現場から 財務省が埋蔵金を民間企業に融資? 動き出す外貨準備高120兆円

取材の現場から 連載


財務省が120兆円のタネ銭をもとに、〝財テク”を始めるという。

財務省は今国会に「特別会計改革関連法案」を提出。特別会計のリストラだが、その中で外国為替資金特別会計(外為特会)関連の法改正も行う。外為特会の資金、つまり外貨準備高は約1兆2,000万ドルに及ぶ。この資金の貸し付けは銀行にしか認められていないが、改正により証券会社にも貸付が可能になる。

麻生財務相は、「金に縁がない役人が運用するより、民間が運用した方が運用益が出る可能性が高い」と説明している。野村証券(8604)大和証券(8601)など大手証券が外為資金を扱うことになると考えられるが、元金が巨額だから、0.1%の手数料でも相当のビジネスになると期待感が高まっている。

外為特会といえばかつて、霞が関埋蔵金論争の中で「最大の埋蔵金」と言われていたものだ。「100兆円を超える米国債などを予算財源に使えば、消費増税など不要だ」と一部の国会議員らが主張。2007年から4年間ほどこの議論が行われたが、10年の事業仕分け第3弾で外為特会の資金は債務――つまり「円売りドル買い介入のための借金」なので使えないと結論付けられ、議論は終結した。

ところが財務省は11年8月、政府が打ち出した円高対策のメニューとして、外為特会の資金を使った1,000億ドル規模の「円高緊急ファシリティ」なる政策を打ち出した。「使えない」はずの外為特会を自ら解禁したのだ。

「当時の野田首相は、消費増税に突き進む意志を示していた。財務省は野田政権を支えるため、虎の子の特会資金を活用したのだ。埋蔵金論者は皆、財務省のご都合主義にあきれていた」(当時の財務省担当記者)。

その円高ファシリティは今年4月、「海外展開支援融資ファシリティ」にリニューアルされ、緊急事業ではなく恒常的な事業となった。このファシリティ制度は、JBIC(国際協力銀行)を通じて日本企業の海外展開の資金として融資するもので、この2カ月間に横浜ゴム(5101)帝人(3401)ニフコ(7988)三井海洋開発(6269)LIXIL(5938)デンソー(6902)などがこの制度を使っている。ソフトバンク(9984)もこの制度を使い、米スプリント社の買収資金として2,200億円の融資を受けている。

財務省は「埋蔵金」を自らの判断で金融界や産業界にばらまいている。財務省に足を向けて寝られない企業がどんどん増えて行く。

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