消費税率引き上げと株価動向 年末に向け「試練の時期」も

夕凪所長のイベント投資100% 連載


ピンチはチャンスで反騰狙い

安倍首相の決断によって、10月1日、来年4月から消費税率を5%から8%への引き上げが決まった。おおよそ、そのときがひとつの株価の天井となり、以降、日本市場全体が軟調に推移している。

消費税が引き上げられると、人々の消費行動が少々抑えられると予想される。このため、株価にとってはマイナス材料となることは確かである。しかしながら、この引き上げ自体は予想されていたことであり、サプライズ感は全くない。材料出尽くしによる株価の上昇があっても不思議ではないくらいである。それでも株価は下落してしまった。一体なぜなのであろうか。そのナゾを解く手掛かりとして、過去同じようなケースのときと比較してみたい。消費税の3%から5%への引き上げが決定した1996年についてである。このときに消費税引き上げの閣議決定が行われた日と、今回の安倍首相が8%から10%へと引き上げを決定した日について、それぞれを基準として、日経平均の終値推移をグラフ化し、比較してみた。縦軸は、それぞれの日の終値を100%とした場合の上昇率であり、横軸は営業日数である。

消費税引き上げ決定前後の株価推移グラフから前回の引き上げ時と今回の引き上げ時が、とても似た株価の値動きとなっていることが分かる。今回についてアベノミクス期待による大幅な株価の行き過ぎがあるものの、消費税引き上げが決定する1年ほど前から株価が順調に上昇を続け、そして決定日を境にして軟調になるのである。もしこのまま前回と同じ株価の値動きになるのであれば、今後株価はさらに下落することになる。

消費税引き上げ前に株価上昇が発生する要因は主に2つ考えられる。1つ目が消費税引き上げについて国民の納得を得るために、政府が景気刺激策をいろいろと打ち出すことである。景気を良くする政策は企業の収益に貢献すると考えられるため、株価へのプラス材料となる。

2つ目が「消費税が将来引き上げられるかもしれない」という意識が、人々の消費を促進することである。今回、消費税引き上げが決まる前から住宅購入について、かなり活発になっている。住宅は建築から引き渡しまでに長い時間がかかる。もし引き渡し時が消費税引き上後になってしまったら、かなりの負担増になるかもしれないという考えから、早め早めに行動しているのではなかろうか。こういった行動によって、GDP(国内総生産)などの景気指標が前年比でよくなっていく。いかにも順調に景気が回復しているような錯覚を与え、株価上昇を引き起こしているのではなかろうか。

しかし、消費税の引き上げが決定して以降の景気指標は「消費税のかけこみ需要なのでは」「消費税引き上げ後もこのまま続くことができるのか」といった警戒感で見られることになる。もし良いものであったとしても株価への材料とされにくく、株価下落が起きやすくなるのではなかろうか。

来年以降、株式売却益に対する税金がほぼ倍になることから、今年中は利益確定が出やすい時期となる。また、例年10月、11月というのは株価が軟調になりやすい時期でもある。さらに今回の消費税引き上げのニュースも重なった。年末に向けて株価は少々試練の時期を迎えるかもしれない。だがこれはピンチでもありチャンスでもある。この時期を過ぎた後の株価反動をしっかり狙っていきたいところである。

夕凪所長とは…
証券界会社のプロも参考にしているサイト「ダントツ投資研究所」を主催。現在はフルタイムの個人投資家。株主優待投資を中心に読者の投資力向上を目指したメルマガ「夕凪所長の株主優待最新ニュース」も発行している。
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