本間宗究 相場の醍醐味 金融の竜巻

本間裕 相場の醍醐味 連載


今年の日本では、全国各地で「竜巻」が発生したが、「竜巻発生のメカニズム」を研究すると、「戦後の日本経済」、あるいは、「現在の金融混乱」と、ほとんど同じ状況とも言えるようである。つまり、「自然現象」の場合には、「地上で暖められた空気」が「積乱雲」を形成するものの、その後、「上空の冷たい空気」によって冷やされることにより、「渦」となって「地表に急速に落下し、竜巻になる」という「メカニズム」のことである。

また、「社会現象」である「金融の竜巻」については、「約60年」という時間をかけて、ゆっくりと展開するものと考えているが、基本的には、「戦後の高度経済成長」が、「地上の暖められた空気」に相当するようである。つまり、「1955年」当時は、「GDP(国内総生産)が約8兆円」、そして、「マネー経済も同等の規模」という状況から、その後、「80年には、約240兆円のGDP」にまで膨れ上がったのだが、この結果として起きたことは、「人々の意識変化」であり、「経済が成長するのは、当然のことである」という「新たな認識」でもあったのである。

つまり、この意識が存在することにより、「実体経済の成長」が止まった後に、「マネー経済の大膨張」を引き起こしたようだが、このことが、「金融面の積乱雲」であり、特に、「80年以降に大膨張したデリバティブ」は、「歴史上からも、稀(まれ)に見る金融バブル」だったようである。その結果として、「2007年」から「世界的な金融大混乱」が始まったのだが、このことは、「膨張の限界点に達したデリバティブが、急速に不良債権化する様子」や、その後の「量的緩和」により、「国債価格が下落しないように、ありとあらゆる手段が使われた」という状況を表しているようである。

しかし、いったん始まった「金融のメルトダウン」については、「竜巻のダウンバースト」と同様に、決して、「力で収束できる」というような性質のものではなく、間もなく、「金融システム」において、「紙幣」や「金(ゴールド)」などを、「竜巻となって、地上高く舞い上げる」という結果をもたらすものと考えている。そして、このことが、過去100年間に、30カ国以上で発生した「ハイパーインフレ」の正体とも言えるようである。

特に、今回は、「アメリカの債務上限問題」をキッカケにして、「国債」と「金」とを巡る「世界的な金融大戦争」が、はっきりとした形で終焉(しゅうえん)の時期を迎えることが想定されるようである。そして、その時には、本当に安全な資産が、「国債」や「預金」などではなく、「貴金属」や「株式」などの「実物資産」だと認識されるものと考えている。

アメリカの次に来るのが、最後の砦である日本国債だと考えているが、残念ながら、現在の日本人には、まったく危機感が存在しないようである。

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