株主優待戦略 その3 「両建て」<ANAの例> 売買損益伴わず優待のみ確保 現渡し決済でコスト軽減

JACK流「勝利の方程式」 連載


今回は、ナンピン買いをせずに、そもそもキャピタルゲイン狙いもせずに、1回の買いで株主優待を獲得できる手法を紹介したいと思います。

この手法は、あくまでも優待権利日のみに着目する投資法であり、巷では「優待タダ取り」というような言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

簡単に言えば、両建てのポジションを持つということになります。

「両建て」と言われても投資初心者の方には、何のことか分からないという方もいらっしゃると思いますが、簡単に言えば「空売り」を使うということです。

「空売り」とは、言葉のごとく、カラ(実際には株券を持っていない)の状態で売るという意味で、FX取引では「ショート」と言われるものになります。

実際の空売りの手順は、以下の通りになります。

(1)最初に、証券会社から、ある銘柄の株券を100株借りてきます。(2)すぐに証券取引所を通じて、その株券を売却します(株価2100円で売却=カラ売り=できたとします)。(3)その後、2000円まで下落したとします。(4)そこで、証券会社を通じて、その株券を2000円で100株購入します。(5)、(1)で借りた株券をそのまま返却します。(6)手元には((1)の売却代金2100円-(4)の購入代金2000円)×100株=1万円、の差益が残ります(※手数料・税金等は考慮しておりません)。

では、実際に、どのような仕組みで株主優待を獲得できるかを時系列に沿って説明していきます。

全日空(9202) 日足1年

全日空(9202) 日足1年

3月末と9月末の権利確定日の株主優待として人気のある全日本空輸(ANA、9202)の獲得を例にいたします。

9月25日(平成24年度の場合)が優待権利日になりますので、その日までに176円×2000株の現物買い注文(優待を獲得する株数)と同時に、176円×2000株の信用売り(空売り)注文を、前場が始まる9時までに成り行き注文(約定価格は、いくらでも構わない注文方法)でオーダーします(実際に、私は9月25日の寄り付きに注文を出しました)。

そして、翌日の9月26日に反対売買(現物買い→現物売り・信用売り→信用返済買い)をするのが一般的ではありますが、この場合は、信用取引の決済(株券の返却方法)の仕方に、「現渡し」というコストがかからない手法を用います。

この現渡しという手法は、簡単に言えば、そもそも前述したように、信用取引の売り(空売り)という行為は、株券を借りて売って現金化しているようなものですので、最終的に、その株券を返せばいいのです。ここで、同じタイミングで購入した現物株を、そのまま返却するということです。

なお、一般的には、株価は権利確定日の翌日には下落しますが、前述しましたように、買いと売りの両建てのポジションを持っていますので、仮に現渡しではなく、反対売買で返済した場合にしても、株価がいくらになろうが、手数料等を除けば損失は出ません。

実際に、翌日の株価で検証すると、場が始まる9時の初値は169円でしたので、前日の現物買い注文の損益は、(176円-169円)×2000株=▼1万4000円になりますが、信用売りの注文の損益は、(176円-169円)×2000株=△1万4000円になりますので、トータルプラスマイナス0円となることがわかります。逆に186円の株価になったとしても、結果は同じになります。

そして、現渡し後は最後に3カ月後ぐらいに株主優待として、2000株ですと、片道1区間搭乗時普通運賃の50%割引の券2枚が自宅に送付されてきます。

それでは、ここまでの優待に掛かったコストを最後に検証してみます。

現物買い手数料=315円、信用売り手数料=100円、貸株料=11円、逆日歩=450円、合計876円になります。

以上のように、ほかのネット証券を使って、かつ消費税を考慮しても1000円以内にはおおむね収まると思います。このコストで、全日空の50%の割引券が2枚獲得できますので、自己消費として考えれば、かなりのメリットがあると思います。

ちなみに、金券屋に売却したとしても、時期にもよりますが、1枚8000円ぐらいにはなると思います。つまり、わずか1カ月くらいの保有で、現物買いの資金の50万円と信用売りの証拠金の30万円(3倍のレバレッジが可能)の合計80万円の資金に対して、自己消費をしなくても1.7%のリターンになり、年利にすれば20%を超える数字となります。

全日空の場合、1口座で最大4枚まで可能ですから、手元資金に応じて、さらに優待の獲得枚数を増やし、家族口座を活用すれば、リターンが増えることは言うまでもありません。

今回は、全日空の例を取り上げましたが、自分自身で欲しい株主優待についても、同じような手法を用いれば、株価を気にすることなく、安心して株主優待を獲得できることは言うまでもありません。昨今の株式市況では、特に金券がらみのモノに特化すれば、そこそこのリターンを安定して生み出せ、常時、株式相場を監視する必要もありません。予算に応じて、サラリーマンやOLの方も気軽にできる手法だと思っております。

しかし、このような手法にも、実は思わぬ落とし穴というか、リスクは存在します。そのあたりは次回に掲載したいと思います。

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