特報 ライツ・オファリング ガイアックスの行使率は82%

特報 連載


懸念される事業低迷企業の調達手段への傾斜

ガイアックス(3775) 週足

ガイアックス(3775) 週足

9月10日にライツ・オファリングの権利行使が終了したガイアックス(3775・名セ)が、9月13日権利行使結果を公表した。結果は14億9,000万円の調達目標に対し、12億5,900万円。行使率は82.1%と、過去の事例に比べるとやや低めだ。

ライツ・オファリング実施公表日である6月14日の終値1,996円に対し、権利行使価格は1株当たり600円。ディスカウント率は69.9%だったので、行使価格の問題とは考えにくい。

ガイアックスよりも1カ月早い8月14日に権利行使期間が終了したシスウェーブホールディングス(6636・JQ)は、62.7%のディスカウント率で93.6%の行使率を達成している。

7月29日に権利行使期間が終了したメガネスーパー(3318・JQ)の場合は、権利行使率は66.7%。この会社、ライツ・オファリングの実施を公表したのは5月20日。3月15日に公表した2013年4月期第3四半期決算で、14億1,800万円の債務超過に陥っており、13年4月期の着地予想は最終損益で23億円の赤字。第3四半期までの累計で最終損益は15億9,300万円の赤字だったので、債務超過額は決算期末時点で22億円強に膨らむことが明かになっていた。

実際、6月14日に公表された13年4月期決算は、最終損益は22億9,200万円の赤字で、純資産はマイナス21億1,500万円。9月13日に公表された、14年4月期第1四半期決算では、早くも当期純損失が6億6,300万円発生しており、ライツ・オファリングで調達した、発行手数料を差し引いた手取り金9億6,000万円を資本勘定に充当しても18億円の債務超過状態だ。現在メガネスーパーの筆頭株主は、和製ファンドの草分けであるアドバンテッジパートナーズで51%を保有している。

ライツ・オファリングで100%近い行使率が実現したとしても、前期末の債務超過がすべて解消するわけではなく、残りは期間損益での解消を計画していたのだが、ショートした分は追加の資本調達が必要になる。来年4月末までに追加の資本政策を実施し、債務超過を解消しないと上場廃止になってしまう。

今期は最終損益で7億円の黒字を見込んでいるので、計算上はちょうど、ショートした4億5,500万円の資本増強で債務超過はギリギリ解消可能だ。だが、第1四半期から前期の倍近い最終赤字を計上しているため、会社側の計画通り、最終損益で7億円が確保できるかどうか、不安視されてもおかしくない。着地が計画を下回れば、その分追加で増強しなければならない資本の額も増えてしまう。

アドバンテッジが5割超を保有している会社でも、投資家は不確定要素を嫌気したということが、66.7%という低水準の行使率につながったのかもしれない。

そういった視点でレカム(3323・JQ)T&Cホールディングス(3832・JQ)の行使率がどうなるのか考えてみると、レカムはそこそこの行使率を確保する可能性がある。

13年9月期の着地予想では、最終損益は1億5,700万円の赤字。第3四半期末時点の累計最終損益が1億9,000万円の赤字で、2,000万円の債務超過なので、第4四半期3カ月で4,800万円の黒字を稼ぐ計算になるので、2,800万円程度の資産超過になる。

あくまで計画が達成された前提での計算上での話ではあるが、ライツ・オファリングの結果に債務超過解消が委ねられているわけではない。一方、T&Cはライツ・オファリングに命運がかかっている。

調達目標の絶対額でJトラストは市場の度肝を抜いたとはいえ、会社のサイズに比べ、Jトラスト以上に大胆な調達だった会社の方が多い。フォンツは純資産の2.8倍、シスウェーブは2.5倍、ガイアックスは3倍の調達に成功している。

徐々にがけっぷち企業の調達手段になりつつあるライツ・オファリング。既にディスカウント率が高ければ高い行使率を確保できるわけではなくなり始めているのかもしれない。

ちなみにレカムの予約権の上場期間は10月10日まで。権利行使期間は10月18日まで。T&Cは9月19日から10月31日までが予約権の上場期間で、権利行使期間は11月8日までだ。

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
戻る