特報 TOB騒動から半年 PGMとアコーディアの業績を徹底比較

個別 特報 連載


PGMホールディングス(2466) 週足

PGMホールディングス(2466) 週足

業界2位が業界1位に買収を仕掛けたTOB(株式公開買い付け)騒動から半年。8月8日、ゴルフ場2位のPGMホールディングス(2466)が、2013年12月期の中間決算を発表した。

結果は売上高以下、営業利益、EBITDA(償却前営業利益)、経常利益、当期純利益がいずれも期初計画を上回る好決算。特に営業利益は32億円の期初計画を10億円も上回る42億円。

今年1-3月の来場者数が前年同期比108%という高い伸びを示し、結果、第1四半期の粗利率が前年同期の7.7%から一気に14.7%に上昇したことが主たる要因だ。

12月決算のPGMは、例年閑散期の1-3月が第1四半期に当たっているので、第1四半期はほかの四半期に比べて極端に利益が少なくなる。今期はその第1四半期で営業赤字がわずか3700万円にとどまった。前期は11億円、その前は14億円の赤字を出していた四半期なので、ここの底上げ効果は大きい。

本稿執筆時点ではまだ7月の月次が出ていないが、下旬に一気に暑くなった6月の来場者数が前年同期横ばい。そこへこの酷暑なので、プレーヤーの年齢層が高いことを考えると、7月、8月は厳しい展開になることは間違いない。このため、前半で大きな貯金ができたにもかかわらず、会社側は業績予想を期初計画のまま据え置いている。

アコーディアとPGMの業績

アコーディアとPGMの業績(クリックで拡大)

やはり猛暑だった2010年が前年比94%の売上高だったが、この時期はPGMがライバルのアコーディアに押され、低迷していた時期だ。10年の7-9月、つまりアコーディアの11年3月期第2四半期の売上高は前年比99%。10-12月(アコーディアの第3四半期)には102.5%に戻っているので、今期のPGMの下期の売上高が、前期比で100%を下回るという可能性は考えづらい。

下期の売上高が前期比横ばいで、なおかつ下期で震災の影響を受けた11年12月期の下期並みの粗利率を確保できれば、期初計画の営業利益は余裕で達成できるので、上ブレ余地は十分あることは間違いない。

アコーディア・ゴルフ(2131) 週足

アコーディア・ゴルフ(2131) 週足

それではライバルのアコーディア・ゴルフ(2131)との比較ではどうなのか。アコーディアは3月決算なので、常に両社の業績比較には3カ月のギャップが伴う。昨年、PGMがアコーディアとの経営統合を前提にTOBを仕掛けた際、アコーディア側は、PGMの経営状態がアコーディアに比べてかなり劣るので、アコーディア側には統合メリットはないとして、TOBに反対した。

実際、一時期はその差が明確だったわけだが、PGMの親会社がパチンコ・パチスロ機器メーカーの平和に交代、ライバルのアコーディアから神田有宏氏がスカウトされて社長に送りこまれて以降は状況が変わっている。

そこで、両社の四半期ごとの比較を試みたのが下の表だ。12年4-6月期から来場者数の前年同期比でPGMがアコーディアを上回るようになり、EIBTDAマージン(EBIDA÷売上高)で、アコーディアを上回る四半期もある。常識的な範囲のコストコントロールはあるので、EBITDAマージンにおける四半期ごとの勝ち負けにはでこぼこがある。特にアコーディアの13年3月期は、PGMから仕掛けられたTOBで、対策費が販管費の増大を招いたためか、最後の第4四半期でかなりのコストコントロールを実施したらしく、閑散期でありながらアコーディアの13年3月期第4四半期のEBITDAマージンは例年からすると異常値を示している。

全体感としては、粗利率はPGMがアコーディアに勝るが、販管費、特に管理費の負担がPGMは重く、ここがアコーディアとの最大の違いといえる。そして何より、ボリュームの差はいかんともしがたい。利益率ではさほどの差がないのに、利益の額となると、ボリュームがものを言い、明確な差となって現れている。

PGMは今回の中間決算発表と同時に中期計画も公表したため、ようやく両社の中計が出そろった。この中計が両社ともに達成されれば、相変わらずアコーディアの優位が続くが、アコーディアの計画は顧客単価の引き上げが前提になっているのに対し、PGMは顧客単価はさらに下がることを前提にしている。

また、9割配当を公約しているアコーディアは、新規取得によるコース数の大幅な増加は前提にしていないが、PGMは純増30コースを前提にしている。

あれだけの騒動があったことがウソのように、今や経営統合の話はどこかへ行ってしまった。当面は中期計画の進捗(しんちょく)を見守ることになりそうだ。

PGMとアコーディアの四半期比較

PGMとアコーディアの四半期比較(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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