取材の現場から 空振りだったネット選挙 お試し期間で需要探る企業も

個別 取材の現場から 連載


Dハーツ(3620) 日足

Dハーツ(3620) 日足

今回の参院選は「ネット選挙解禁」という制度変更があり、新ビジネス誕生と浮足立つ向きもあったが、不発に終わったようだ。ネット業界側の期待感は高かったようで、「通常20万-30万円でできるホームページ作成に別途、デザイン料200万円を吹っ掛けた業者がいた」(選挙コンサル)という。ネット業者が想像するほど政治家はお金を持っていない。ミスマッチで受注は不調だったようでもある。

選挙前には、ツイッターへ出資しているデジタルガレージ(4819・JQ)や、政治家ブログに強いサイバーエージェント(4751・東マ)、政治動画を配信してきたドワンゴ(3715)が注目されたが、選挙中にこれという盛り上がりはなかった。候補者ツイッターのフォロワーも、比例区の著名人候補でも500人に満たない者がいる。1万人を超えているのは、選挙前からツイッターを熱心にやっていた候補者ぐらいだ。

ネット選挙で期待されたのはリサーチ、コンサルからセキュリティまでを担うパイプドビッツ(3831・東マ)のような会社が伸びるかどうかだった。が、同社関係者は「政治山という情報プラットフォームを運営し、ネット選挙に備えてきたが、今回は空振りだった」とボヤく。

GMOインターネット(9449) 日足

GMOインターネット(9449) 日足

それでも今回、存在感を示した会社はある。デジタルハーツ(3620)はサイバー攻撃や情報流出を防ぐサービス提供を自民党から受注。GMOインターネット(9449)は自民、民主、みんな、維新に対して成りすまし防止システムを寄付。ガイアックス(3775・名セ)はネット上の誹謗(ひぼう)中傷、風評被害を監視する無償ツールを提供した。今回はまさに「お試し期間」という感じだった。

ただ、需要がなかったわけではない。

「Googleの検索予測機能サジェストで表示されるワード削除のニーズはあった。過去に選挙違反の経歴があると、候補者名を入れると『公選法違反』というワードが出る。その手のオーダーは結構あった。1ワード100万円で業者は受注していた」(ネット業者)

さて、今後どうなるか。「ネット選挙の費用を選挙公営から出すべきだ」という声もある。選挙では、新聞広告やはがき、ポスター、ビラ、選挙カー、政見放送などの費用はすべて国が税金から出す。これにネットも含めるべきというわけだ。一部ネット業者からは、「カネのかからない選挙実現のため、ネットにカネをかけろ」との声も上がっている。それでもし選挙公営に認められれば、そこから本当のネット選挙ビジネスが始まるのだろう。

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