取材の現場から FCV開発は経産省の意向 3強と他メーカーの格差拡大か

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ホンダ(7267)とGMが、燃料電池車(FCV)開発で提携することが明らかになった。本欄で前回(7月1日付)触れた通り、FCV実用化に向けた作業が今、着々と進んでいる。燃料になる水素を供給する水素ステーションをガソリンスタンドに併設するなどインフラ整備が始まり、政府による16項目の規制見直しも進められている。また、6月27日の国連欧州経済委員会「自動車基準調和世界フォーラム」では、FCVの安全基準は日本案をベースにすることが採択された。日本政府と産業界は2015年のFCV実用化に向け、一気に準備を進めている。

ただ、自動車メーカー各社は悲喜こもごもだ。

政府はFCV推進に舵(かじ)を切る一方、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)、クリーンディーゼル車への支援措置を打ち切る意向を示している。15年で「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」を打ち切る方向が決まっているという。

「EVを次世代エコカーの軸に据えていた日産(7201)や、クリーンディーゼルにシフトしていたマツダ(7261)はエコカー戦略の転換を迫られる。一方、PHVはトヨタ(7203)が先行しているが、HV(ハイブリッド車)が売れているので、PHVが減速してもさほどダメージはないだろう」(自動車ジャーナリスト)。

政府がこれら次世代車を切り捨て、FCVに注力するのには理由がある。

「EVはバッテリーでモーターを動かすという簡単な技術があれば作れる。しかし、FCVはプラスとマイナスの電極で電解質膜を挟む構造なので、高度な技術が必要。日本が得意とする〝すり合わせ能力〟を生かし、他国に先駆けたいという経産省の意向でFCVへの一点集中政策が固まった」(経産省担当記者)。

バッテリー分野では、韓国や中国が日本を猛追している。民生用リチウムイオン電池の出荷で韓国のサムスンSDIがパナソニックを抜き、LG化学がその後を追い掛けている。中国の天津力神もシェアを伸ばしている。ただ、高度な技術が求められる場合は、まだ日本勢にアドバンテージがあるようで、自動車部品最大手のボッシュは、リチウムイオン電池の共同開発でサムスンとの合弁を解消し、GSユアサ(6674)と提携すると6月20日に発表した。

自動車メーカーにとっては、FCVで世界を席巻していく道筋ができてきたわけだが、「トヨタ、日産、ホンダ以外はFCV開発を縮小、停止しており、15年の市販車供給は間に合わない。3強と他メーカーの格差が広がる」(前出・経産省担当記者)とみられている。

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