材料追跡 成長戦略に先行する三菱地所

個別 概況


「成長センタープロジェクト」から巣立つ新興企業

三菱地所(8802) 月足

三菱地所(8802) 月足

アベノミクスの「成長戦略」では、「都市の競争力向上」が掲げられ、その中には「国家戦略特区」における容積率の緩和策、不動産の供給量増加策がある。容積率の緩和策は指定された土地を保有する不動産会社や工事を請け負う大手建設会社にはポジティブ材料となるが、需要の一部地域への集中にとどまると、全体需要の増加につながらず、国全体ではメリットが薄まるという難点もある。

野村証券は6月16日のレポートでは、「(不動産の)需要の増加策としては、海外の企業が拠点を構えるのにインセンティブを持つように、羽田空港や成田空港など都市交通のアクセスの改善、都市居住環境の改善、医療や教育機関の充実などが実行されようとしている。また、外国人旅行者の増加、国際会議など(MICE、※)や2020年オリンピック開催など国際的な大規模なイベントの誘致・開催の強化でホテルなどの不動産需要を喚起する」ことも挙げられている。

金融政策と相まって為替が円安であれば、海外からの短期的な訪日人数は増加しやすくなるだろう。しかし、海外からの企業や高度外国人などの居住者など「半永住者」を増加させるためには、「諸外国と比較した法人税や所得税、相続税などの見直しも必要となってくるかもしれない」と指摘している。

6月の成長戦略では盛り込まれなかった法人税減税は7月の参議院議員選挙の与党・自民党の選挙公約課題となることも決まり、選挙後はその減税率に関心が向かうことになりそうだ。

こうした中、政府の成長戦略に先行して、具体的に海外企業の入居獲得を経営計画に組み込んで動き出しているのが不動産業界大手の三菱地所(8802)だ。同社は日本を代表するビジネスセンターである東京・丸の内に、日本未進出の海外企業やグローバル展開を目指す日本のベンチャー企業を誘致する「成長センタープロジェクト」を推進している。東京駅前にある丸の内のランドマークともいえる「新丸ビル」内には、成長戦略センタープロジェクトの実施拠点となる「日本創生ビレッジ」を設置。

この5月には新たに入居した米国、ベルギーの海外入居企業4社を招いての記者会見も開催している。このベンチャー支援の下で、ディップ(2379・東マ)アイティメディア(2148・東マ)夢の街創造委員会(2484・JQ)など5社の株式上場が既に実現している。

※ミーティング、インセンティブ、コンベンション、エキシビションの頭文字をとった造語。多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。

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