取材の現場から 生保と葬儀業者が異彩のタッグ 規制緩和で葬儀の現物給付が実現へ

セクター 個別 取材の現場から 連載


6月7日に金融審議会「保険商品・サービスの提供などの在り方に関するワーキング・グループ」の最終会合が開かれ、今週(10-14日)に報告書が公表される。目玉は、「現物給付型保険」の解禁だ。

生命保険は原則、「お金」の給付しか認められなかったが、医療や介護などの「サービス」を提供することも可能になる。早ければ来春にも解禁される見通しだ。

生保業界は、医療保険への参入に期待感を高めている。

「生保の医療保険参入は国民皆保険制度を浸食し、格差拡大を招きかねず、解禁に対する反発は強かった。しかし、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などの外圧もあり、政府は解禁に一歩踏み出した」(大手生保)。

しかし実は、今回の緩和は現物給付の解禁ではない。厳密には、「保険金の直接払いサービス」の解禁。生保が老人ホームや葬儀業者に直接お金を支払い、契約者が直接サービスを受けられるようになるだけ。生保が全額支払いしない場合もあり得る。また、医療は除くなど制限を設け、全面解禁は見送られるようだ。

とはいえ、生保のラインアップが広がることは間違いない。現物給付は既に損保で行われているので、東京海上ホールディングス(8766)NKSJホールディングス(8630)は商品開発に一日の長があるだろう。また、規制緩和の一環なので、傘下に生保を持つオリックス(8591)楽天(4755)も積極的に現物給付型保険を出すのではないか。

政府が全面解禁に及び腰になっている中、解禁が見通されているのが、葬儀の現物給付。加入者が亡くなった場合、あらかじめ定めた内容の葬儀を行ってもらえる保険だ。従来の葬儀は遺族が、ばたばたと業者を決めることが多く、葬儀業者の言うなりに行われる傾向が強いが、この保険があれば、事前に葬儀内容をじっくり吟味して決められる。

当然、比較検討するので割安な葬儀を選べるようになるはずだが、実際には少々違うようだ。

「生保各社は今、葬儀業界団体と折衝し始めている。葬儀業界は、買いたたきを恐れていたが、意外に生保は、高めの料金設定を想定していた。葬儀保険では生保が葬儀業者からコミッションを取ることになるので、それでもうけようとしているのではないか」(葬儀業者)

生保は、葬儀業者とWin-Winの関係を目指しているようだ。だとすれば、燦ホールディングス(9628)平安レイサービス(2344)ニチリョク(7578)サン・ライフ(4656)など葬儀業者には商機となる。

戻る