特報 東宝不動産の株主総会 議決権行使割合は驚きの96.4%

個別 特報 連載


東宝不動産(8833) 日足

東宝不動産(8833) 日足

5月24日金曜日、注目の東宝不動産(8833)の定時株主総会が開催された。議案は全部で4本。1号議案が種類株式発行に係る定款の一部変更。2号議案が全部取得条項に係る定款一部変更、3号議案が全部取得条項付き普通株式の取得。そして4号議案が監査役1名の選任である。つまりは1号から3号までがキャッシュアウトするための追い出し決議3点セットである。

結果は1号から3号までが、議決権個数で賛成45万3,624個、反対7万9,377個そして棄権が1,270個である。4号議案にも1万8,238個の反対票が入っている。

東宝不動産の総議決権個数は55万3,760個。賛成、反対、棄権の議決権個数を合計すると53万4,271個になり、議決権行使割合は実に96.4%に達したことが分かる。

表は、2月決算の会社で、21日までに総会が終了している会社の議決権行使割合を集計したものだが、やはり7-8割という会社が圧倒的多数だ。2月決算会社の総会ピークは23日で、まだ結果の公表が出そろっていないが、一般的に議決権行使割合は7割程度が一般的だというから、9割超はやはり高い。

中でも反対票の割合は14.3%。今のところ総会での追い出し決議後に追い出し価格の価格決定申立をすることを表明しているのは、5.43%を保有するハワイ籍のファンド・プロスペクトアセットマネジメントと、戦う個人株主・山口三尊氏くらいだが、反対票を投じた14.3%は買い取り価格決定申立に動くと考えているのが普通だろう。何もアクションを起こさないのならTOB(株式公開買い付け)に応募すればいいからだ。

東宝不動産は総会での議決結果を5月27日に臨時報告書の形で公表しているのだが、同日付で2013年2月期の有価証券報告書も提出している。有価証券報告書には東宝不動産が所有する賃貸不動産の時価情報が掲載されている。1年前の時価は686億4,840万円。これに対し簿価は239億254万円だったので、含み益はざっと447億4,585万円。1株当たりに引き直すと803円。それが1年経過した今期の時価はさらに上がって701億7,457万円。簿価との差額の含み益は452億8,566万円で1株当たりは813円である。

TOB価格の750円は会社側が公表している含み益の半値以下。東宝不動産の所有物件をまじめに1つ1つ路線価で評価し直したら2,000円くらいの含み益が出る。

東宝(9602) 日足

東宝(9602) 日足

買収者の東宝(9602)自身がTOBでかき集めた保有割合は77%。今回の総会での賛成票は84.8%だったので、7%強の上乗せがあったとはいえ、14%の反対は大きい。

買い取り価格決定で、首尾よく会社側公表の含み益813円が上乗せされて1,563円での買い取りになると、64億円分東宝にとってはコストアップになる。2,000円上乗せされれば158億円だ。1株750円前提の予算は167億円だったので、64億円のアップでもかなりのコストアップになる。

買い取り価格決定は総会決議から20日以内に申立をする必要があるので、申立者の顔ぶれが出そろうのは来月末くらいになるはずだ。

2月決算会社の株主総会
コード 銘柄 開催日 議決行使率 コード 銘柄 開催日 議決行使率
2778 パレモ 5/9 78.2% 7448 ジーンズメイト 5/17 72.6%
9842 アークランドサカモト 5/9 86.3% 8166 タカキュー 5/17 69.0%
2660 キリン堂 5/10 65.3% 8217 オークワ 5/17 78.1%
2786 サッポロドラッグストアー 5/10 78.3% 8227 しまむら 5/17 89.4%
3171 マックスバリュ九州 5/14 88.8% 9843 ニトリHD 5/17 84.1%
7430 サンワドー 5/14 91.7% 9878 セキド 5/17 70.5%
7545 西松屋チェーン 5/14 82.4% 3333 あさひ 5/18 87.1%
8201 さが美 5/14 80.1% 7608 エスケイジャパン 5/18 74.6%
9976 セキチュー 5/14 87.9% 3644 1stHD 5/20 68.2%
8276 平和堂 5/15 85.1% 8196 カスミ 5/20 69.7%
3353 メディカル一光 5/16 79.8% 9381 エーアイテイー 5/20 74.9%
4714 リソー教育 5/16 72.2% 2651 ローソン 5/21 84.6%
8267 イオン 5/16 76.7% 2653 イオン九州 5/21 86.4%
8270 ユニーグループHD 5/16 72.5% 6734 ニューテック 5/21 79.0%
9977 アオキスーパー 5/16 86.2% 7624 NaITO 5/21 96.5%
2662 ダイユーエイト 5/17 79.9% 8233 高島屋 5/21 67.7%
6279 瑞光 5/17 81.0%
著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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