取材の現場から シャープ(6753)経営陣交代の裏側 進まぬ資産売却が火種か

個別 取材の現場から 連載


シャープ(6753) 月足

シャープ(6753) 月足

シャープ(6753)が経営陣の交代人事を発表した。会長、社長が退任し、高橋興三副社長が社長に昇格。クーデター人事ともいわれるが、水面下でどういう動きがあったのか、背景は何だったのか、関係各人が個々の思惑で解説しており、情報が交錯している。芥川龍之介の「藪の中」のような様相となっている。

シャープは昨年3月、過去最大の赤字の責任をとり、片山幹雄社長が代表権のない会長に、町田勝彦会長は相談役に退き、社長には常務執行役員だった奥田隆司氏を抜擢(ばってき)した。

しかしその後、社長を差し置いて、代表権のない片山会長や町田相談役が鴻海グループやサムスンとの提携交渉を担い、さらに、3代前の社長だった辻晴雄特別顧問も経営に口を出すようになったとされる。「3人の社長OBが、経営の打開策を模索していた。善意の行動だろうが、ガバナンスの観点から見れば最悪。〝船頭多くして船山に上る”を地で行く状態となった」(シャープ関係者)。

本来なら奥田社長がこれをいさめるべきだが、そうした動きはなく、そこで高橋副社長が決起し、今回の人事を行った――というのが専らの見方だ。

この人事は誰が仕掛けたのか。積極的に語っているのは片山会長。「町田、辻両氏を引き連れて自分は身を引く。あなたも考えるべきだ」と奥田社長に引導を渡したと述べている。

ところが、「片山会長は、『自分は絶対に辞めない』と会長続投に執着していた」とする情報も伝えられ、「高橋副社長が半年以上前から片山会長らの排斥に水面下で動いていた」ともいわれる。

消息筋によれば、片山、町田、辻の3人の元社長が「亀山ブランド」のリストラに強く反対したことが、シャープの立て直しの障害になっていたという。だから「徹底したリストラを行うために高橋副社長は片山氏らをパージした」(消息筋)という。昨年マスコミは、シャープのリストラ策を報じ、人員削減に加え、亀山工場の分離や、海外工場の売却、複合機事業や空調機事業、市ヶ谷や幕張のビル売却という情報が飛び交った。しかし、ほとんど進んでいない。

いずれにせよ今後、シャープの資産売却が進むのだろうが、そう簡単ではなさそうだ。例えば亀山工場。地価調査を元に計算すると69億円にしかならない。しかも「工業専用地域だから、工場以外には使えないので、買い手は限られる。買い叩かれ半値の40-50億円がいいところ」(不動産業者)といわれる。社長OBを切っても、前途多難には変わらない。

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