特報 レナウン(3606) 下期偏重の今2月期業績予想 中国・三東如意の追加出資は実を結ぶか

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レナウン(3606) 週足3年

レナウン(3606) 週足3年

4月12日、レナウン(3606)が2013年2月期の決算を発表した。結果はまたもや営業赤字。期初の時点では7億円の営業黒字予想だったが、2%の増収にもかかわらず営業赤字は拡大してしまった。最終損益では06年2月期以来の黒字だったが、これも投資有価証券の売却益11億円のおかげだ。昨年8月末時点の投資有価証券評価益は6億円強しかなかったわけだから、自民党政権復活後の株価上昇の恩恵で最終黒字を計上できたようなものだろう。

レナウンは1992年7月期に最終赤字に転落して以降の22年間で、今回も含めて最終黒字を計上したのはわずか2回しかない。2006年2月期も習志野流通センターなどの売却益67億円のおかげで最終黒字になったにすぎない。

ダーバンとの統合、カレイドホールディングスによる100億円の出資も業績改善には結びつかず、09年9月のアクアスキュータム売却で営業赤字幅は縮小したものの、優良子会社レリアンも10年1月に売却してしまった。

10年5月に中国企業・三東如意との資本提携で40億円の資本注入を受けたが、営業黒字を計上できたのは、広告宣伝費を極端に切り詰めた11年2月期だけ。12年2月期は東日本大震災の影響という言い訳ができたが、13年2月期はその言い訳は通用しない。

原因を探ってみると、まずは売上高の計画未達である。期初の売上計画は、上期が346億円(前年同期比4.8%増)、下期が436億円(前年同期比4.7%増)だったが、着地は上期が335億円(前年同期比1.6%増)、下期が426億円(前年同期比2.5%増)。

売上総利益率も上期で前年同期比0.04ポイント減、下期で0.78ポイント減。一方販管費は上期、下期ともに1.6%ずつ増えている。

この結果、営業損益は上期が期初計画の21億円の赤字に対し、着地は24億円の赤字と3億円も下ブレ、下期に至っては28億円の営業黒字計画だったのに、着地は9億円もショートし、19億円にとどまった。

それでは決算発表と同時に公表された14年2月期予想はというと、通期は売上高が773億円で、営業利益が5億円、最終損益も5億円。これを上下に分解してみると、上期が売上高346億円と前期の期初予想と全く同額だが、前期比伸び率では3.1%増と、前期初の4.8%よりはだいぶ低い。とはいえ前上期実績よりはだいぶ高い。営業損益は23億円の赤字で前期実績比1.3億円の改善。売上高計画を達成できるのなら、さほど非現実的な計画ではない。

問題は下期だ。売上高計画はほぼ前期実績並みだが、営業損益は前期初計画と同じ28億円の黒字を見込む。前期実績から9億円も改善する計画なのだ。

一体どうやってそこまで営業利益を改善させるつもりなのか、細かく見てみると、通期の販管費が5億円ほど増える一方、売上総利益率を42.7%から43.6%へと、1ポイント近く改善させる計画になっている。

上期の計画は前期実績と大きく違わないので、売上総利益率の改善は下期に集中するとすれば、前期実績の43.7%から、一気に1.6ポイントも引き上げないと計算が合わない。

筆頭株主の三東如意は、5月末以降にさらに40億円の追加出資を行い、持ち株比率を従来の41%から53%に引き上げ、派遣する役員の人数も増やすので、レナウンの取締役会の過半数は三東側役員が占めることになる。

追加出資資金は基本的に国内の増強に使うという。資本参加当初は中国での展開を期待していたが、まずは国内の立て直しを優先せよ、ということになったらしい。

現時点で判明している材料だけでは今下期に業績が急改善するとはとても思えない。カレイドが投じた100億円を2年で食いつぶしたレナウン。現在の株価は三東の資本参加直前の水準よりもまだ低い。三東の投資が実を結ぶかどうかは、今下期次第といえるだろう。

レナウンの連結業績推移
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
当期純利益
(百万円)
自己資本比率 純資産
(百万円)
BPS
(円)
配当
(円)
88/12 227,656 4,574 6,276 55.4% 131,068 618.46 12.5
89/12 236,127 2,493 6,470 61.8% 179,968 687.66 14.5
90/12 243,056 161 1,316 53.8% 182,568 670.18 14.5
91/12 243,804 △8,513 7,387 59.7% 188,471 680.48 7.5
92/7 115,017 △15,943 △23,114 53.6% 163,150 588.91 4.4
93/1 121,469 △6,189 △9,822 51.3% 152,299 549.74 3.75
94/1 216,206 △12,689 △18,324 47.4% 133,455 481.00 0
95/1 208,286 △18,365 △36,400 38.1% 97,309 350.72 0
96/1 213,660 △11,337 △13,391 35.0% 84,070 303.01 0
97/1 215,828 △6,213 △4,023 33.0% 78,441 282.72 0
98/1 208,433 △8,213 △4,689 31.1% 73,715 265.68 0
99/1 161,419 △7,616 △20,371 27.2% 52,168 192.25 0
00/1 128,381 △4,528 △1,090 36.4% 53,156 188.03 0
01/1 121,413 △2,269 △1,240 38.4% 44,245 191.58 0
02/1 118,520 △1,574 △9,545 33.9% 42,263 159.48 0
03/1 107,289 2,749 △1,471 34.9% 38,072 152.48 0
04/1 99,949 290 △2,964 40.2% 36,309 137.98 0
05/2 124,731 1,951 △957 36.5% 44,057 1,267.39 0
06/2 119,717 160 3,016 56.3% 60,882 1,282.47 0
07/2 176,281 2,719 △2,981 42.7% 62,248 1,103.40 0
08/2 175,613 △2,142 △8,087 38.2% 52,994 902.43 0
09/2 155,999 △7,520 △12,291 32.4% 37,102 569.26 0
10/2 130,000 △2,400 △8,000 50.6% 19,914 415.56 0
11/2 73,254 159 △1,131 57.9% 23,149 284.97 0
12/2 74,603 △320 △666 58.3% 22,343 275.42 0
13/2 76,194 △513 483 59.7% 22,634 279.81 0
14/2予 77,300 500 500 0
著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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