取材の現場から 「マイナンバー」に絡む思惑 IIJ社長人事は監視のため?

個別 取材の現場から 連載


IIJ(3774) 週足

IIJ(3774) 週足

「マイナンバー」が証券市場のテーマとなっている。その中、IIJ(3774)が注目を浴びている。「10年に一人の逸材」と評された勝栄二郎・前財務次官が同社入りし、社長に内定したからだ。「財務省からIT会社への天下りは妙だと思ったが、どうやらマイナンバー絡みの人事のようだ」と霞が関ウォッチャーの間では専らの話題となっている。

ただ、IIJレベルの会社がマイナンバーのSI(システム・インテグレーション)業務を受注できるどうかは、疑問視する向きも多い。

「住基ネットのときもNTTコミュニケーションズやNEC(6701)富士通(6702)日立(6501)の4社だった。IIJでは小さすぎる」(システム会社幹部)

システム構築は土木事業のようなもので、大規模ならスーパーゼネコンでないと対応しきれない。過去の政府の大型システム開発プロジェクトを見ても、「総合行政ネットワーク」はNEC、富士通、日立、日本IBM、「政府認証基盤」(GPKI)はNEC、日立、セコム(9735)といった具合。もちろん、その下請けに入ってもおかしくないが、そのためにスーパー官僚が天下るというのは不自然だ。

マイナンバーのシステム構築費について所管の内閣官房は350億円を見込んでいるという。しかし、これは中央政府レベルの費用で、このほかに地方公共団体などのシステム構築が行われ、これを含めると2,000億-3,000億円というビッグプロジェクトになる。

これをリードするとみられるのは「地方自治情報センター」と「行政情報システム研究所」という天下り法人。両法人とも2人の総務省OBが役員に再就職している。マイナンバーでは、既設の「政府共通ネットワーク」と「行政総合ネットワーク」(LGWAN)を利用するが、この運用を担っているのが両法人。中でも地方自治情報センターはマイナンバー導入に併せて、「地方公共団体情報システム機構」という団体にバージョンアップし、自治体のシステム構築を仕切る役割を担う。

地方自治情報センターは、かつてLGWAN構築にあたって国から14億6,000万円の予算を得たが、業務は12億6,000万円で下請けに発注。つまり2億円を抜いている。今回もこんな感じでやるのではないかともみられている。

そんなことから、勝・前次官がIIJ社長に転身したのは、「マイナンバーで総務省のやり放題を監視するためではないか」という見方も出ている。

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