特報 メガネトップのMBO 大量保有報告書提出はあのミッション社

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メガネトップ(7541) 日足

メガネトップ(7541) 日足

破格の好条件を提示した1sホールディングスのTOB(株式公開買い付け)開始からほぼ1週間後の4月15日、「眼鏡市場」でおなじみのメガネトップ(7541)が、MBO(経営陣による買収)の実施を発表した。

通常とは異なり、場が立っている最中の正午の発表だったので、午後の取引で一気に取引は増えたものの、終値は前日比84円高。上昇率はたったの6%だった。

というのも、TOB価格が公表前日終値プラス6.5%の1,400円だったからだ。3割程度のプレミアムでも低いと感じる昨今。4割台に乗って当たり前という感覚なので、わずか6.5%というプレミアムはいかにも低い。会社法施行以降のキャッシュアウトの事例の中でもボロ会社の市場退出時並みの低さだ。

過去1カ月平均の1,264円に対しても10.8%。3カ月平均の1,153円に対しても21.4%。6カ月平均(1,067円)でようやく31.2%という水準だ。従って、昨年12月以降にアベノミクス効果で株価が実力以上に急上昇した、それ故にプレミアムが相対的に低く見えるのだ、ということでは決してない。

2013年3月期第3四半期末(昨年12月末)時点のBPS(1株純資産)は501円。同時期の株価が1,021円なので、そもそも市場価格自体がPBR(株価純資産倍率)2倍とまずまずの水準だ。従ってTOB価格がBPSを大きく下回るような不届きな銘柄ではない。とはいえ、やはりプレミアムが6%というのはいかにも低い。個人投資家はBPSには見向きもせず、プレミアムにひかれるので、少々本気度を疑いたくなる。

今回の買収者は同社代表の冨澤昌宏氏のSPC(時定目的会社)だ。昌宏氏の父で創業者の富澤昌三氏ら創業者一族所有分が合計33.19%あり、このうち昌三氏、昌宏氏親子が所有する25.61%は応募対象になっていない。

一方、TOB成立の下限は40.5%。応募対象分を除く約32%が実質的な獲得目標株数で、少数株主の過半数、つまりマジョリティオブマイノリティの獲得を目指している。

40.5%の応募があれば、昌三氏、昌宏氏親子の所有分を足して66.11%になる。自己株が0.67%あるので、ぎりぎりキャッシュアウトでの追い出し決議に必要な議決権に達する。

今のところ株価は1,400円をほんの数円下回る1,390円台後半で日々推移しており、TOBが終了してもなおTOB価格を大きく上回って推移している東宝不動産とは異なる。株価だけ見れば、こんな低水準のプレミアムでもTOBは成立してしまいそうに見えるのだが、少々気になる動きも出ている。

MBOの実施公表から4日後の4月19日、ミッション・バリュー・パートナーズなる米国デラウェア州籍のファンドが大量保有報告書を提出しているのである。同報告書によると、4月18日に0.6%を取得した結果、合計で5.04%になったので大量保有報告書を提出しているのだが、直近60日の取得状況を見ると、3月4日から6日までの3日間で0.22%、そして4月18日に0.6%なので、合計しても0.82%にしかならない。ということは、3月3日以前の段階で既に4.22%を保有していたことになる。

昨年9月末時点の特定大株主の一覧を見てみると、チェース、メロンバンク、ステートストリートといったカストディアカウントが合計7%の保有で登場している。この中のどれかにミッション社の保有分が含まれていたのかもしれない。

このミッション社の代表者として大量保有報告書に書かれているのはアンドリュー・マクダーモットなる人物。全く同名のサウスイースタンのファンドマネージャーが、5年ほど前、日経新聞のインタビューに答えている。日本興亜損保の筆頭株主として、サウスイースタンが兵藤社長の再任議案に反対表明をし、話題になってのインタビューだった。

サウスイースタンといえば、フジテレビVSライブドアのニッポン放送争奪戦の際にライブドア側にニッポン放送株を売却したり、最近ではオリンパスの株主として、増資に反対したり取締役の交代を求めるなどした、日本ではおなじみのファンドだ。

ミッション社の設立は10年3月。ミッション社の代表と5年前にサウスイースタンのファンドマネージャーを務めていた人物が同一人物かどうかは確認がとれないが、このタイミングでの5%超取得なので、TOBが成立すれば、少数株主の追い出し決議後に買い取り価格決定の申立に動く可能性は十分にある。

ちなみにミッション社はビー・エム・エル(4694)明光ネットワークジャパン(4668)旭ダイヤモンド工業(6140)の3社についても5%程度の保有があるとする大量保有報告書を出している。

メガネトップの業績推移(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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