電通、ファーストリテ、LIXILが代表格  「師走高習性」銘柄にロックオン

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電通(4324) 日足

電通(4324) 日足

過去の株価推移を基に、「12月(師走)高習性」を持つとみられる銘柄に光を当ててみたい。年内最終月である12月は、外国人がクリスマス休暇入りする月後半に極端な薄商いが訪れ、一方で新興市場銘柄が人気化するなど、毎年、比較的似通った傾向を示す月。個別ベースでも、年末特有の動きを示す銘柄があっても不思議はない。

“アノマリー”とは、合理的な説明の付かない相場現象を意味し、市場では、しばしば「季節習性」と同義に用いられるが、必ずしも侮れないものがある。例えば、以前に紹介した「11月最終営業日を含む週の日経平均」は、今年も13年連続高を記録した。もっとすごいのは「大納会の日経JASDAQ平均」で、昨年まで19年連続高を継続中。しかも、当日のみの単発高は1度もなく、そのほとんどが大幅な続伸に結び付いている。

過去25年間の実績で選別

モルガン・スタンレーMUFG証券は、3日付日本市場投資戦略「2013年見通し」の巻末資料の中で、「過去25年間の12月季節性アノマリー」を取り上げている。単純な騰落ではなく、TOPIX対比でのパフォーマンスの優劣を基準にしたものだが、12月の勝率が66・6…%(3分の2)以上となる主要銘柄は13に達した。

もっとも、一昨年12月途中に新規上場した大塚HDのように、「1勝0敗の勝率100%」というのでは意味がない(再編を経たNKSJHDや三越伊勢丹HDも、ほぼ同様)。そこで、上場後10年以上を経過し、しかも、近年の12月のパフォーマンスが特に良好な銘柄に絞ったのが、表の3銘柄だ。このほかには、パナソニック(6752)、日東電工(6988)、JT(2914)、OLC(4661)あたりも12月高習性銘柄の一角に挙げられていい。

表に挙げた中で、ファーストリテイリング(9983)は、モルガン・スタンレー基準で、東証上場来10勝5敗。直近10年で、10―12月(3カ月間)の騰落がすべてプラスを記録したように、かねて年末高習性が指摘されており、12月3日にかけての12連騰など、早くも本領発揮の展開を披露している。

主な「12月高習性」銘柄の最近5年間の動向
電通 ファーストリテイリング LIXILグループ
2007年12月 2,960円(+120円) 7,980円(+680円) 1,789円(+10円)
2008年12月 1,770円(+75円) 12,980円(+2,030円) 1,380円(+187円)
2009年12月 2,135円(+277円) 17,470円(+1,790円) 1,599円(+187円)
2010年12月 2,521円(+263円) 12,930円(-310円) 1,787円(+242円)
2011年12月 2,349円(+155円) 14,000円(+1,680円) 1,475円(+28円)
10%以上 2回 3回 2回
5%以上 3回 4回 2回

 

7連勝・電通は平均「+10・1%」

そして電通(4324)。12月相場は、昨年まで7年連続高継続中だが、上昇率を追うと、2005年+18・9%、06年+9・7%、07年+4・2%、08年+4・4%、09年+14・9%、10年+11・6%、11年+7・1%で、平均「+10・1%」に達する。

英イージスグループ買収(3955億円)の費用負担懸念から、数年来の底値圏での低迷が続く銘柄だが、12月相場はひとまず堅調なスタートを切っており、季節性発揮が期待される場面。

会社側に話を聞くと、「12月は、各業界とも年末商戦の活発化する時期。例年、お得意さまの出稿が増え、広告が込み合い、年末に近づくにつれて出稿量も増えてくる。12月に株価上昇が目立つのも説明が付く」(電通・広報部)とのことだった。

ただし、電通は11月8日の四半期決算発表時に、今3月期収益予想の下方修正を強いられた。足元で広告出稿が伸びているにしても、単に季節性によるものならサプライズに乏しく、買い材料としての説得力にも欠ける。ところが、今年の場合、まだ業績予想に織り込まれていない「大きなポジティブ要因」が浮上してきた。衆議院議員総選挙だ。

「選挙戦では、各政党からの広告やテレビCMなどが急増するため、業界全体にとってのプラス要因となる。11月上旬の決算発表時点で選挙の有無は未定だったので、収益予想には反映されていない。政党ごとにオリエンテーションを行って1党に付き1社の広告代理店を選ぶことになる」(同)とか。政党助成金の豊富な民主党や、与党復帰の有力な自民党から受注していれば、少なからぬ収益上乗せ要因ということになりそうだ。

中国系ファンドの買い増しも確認

なお、12月好調組のもう1社、LIXILグループ(5938)は、11月上旬に(電通とは逆に)営業利益と経常利益の増額修正を行っており、野村、ドイツ、シティグループ、バークレイズなど各証券で買い推奨が相次いだ経緯がある。最も高い目標株価はクレディ・スイスの2600円(時価の約6割高水準)。中国政府系ファンドとみられる大株主「OD05」名義も、9月末現在で、小幅ながら増加していた。

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