取材の現場から 2つのバッテリートラブル 三菱とボーイングは違う リチウム電池は「シロ」!?

個別 取材の現場から 連載


GSユアサ(6674) 日足

GSユアサ(6674) 日足

三菱自動車(7211)は3月27日、電気自動車用のバッテリーで発火などのトラブルが2件あったと発表。そのバッテリーが、ジーエス・ユアサ・コーポレーション(6674)の子会社が製造したリチウムイオン電池だったことが憶測を呼んだ。ボーイング787で加熱トラブルを起こしたバッテリーが、GSユアサのリチウムイオン電池だったからだ。

787のバッテリートラブルの原因は、いまだ不明。三菱のトラブル公表と同じ日に運輸安全委員会は会見を行い、787の事故原因調査について「現時点で根本的な原因解明に至っていない」と説明した。ところが、787に続いてGSユアサのリチウム電池が発火したことで、787もGSユアサの電池の問題ではないかとみられている。

しかし、専門家の意見は違う。

「どちらもリチウム電池だが、787は正極材にコバルト酸リチウムを使用しているが、三菱のはマンガン酸。バッテリーとしては別物で、両者に関連はない。787のトラブルは、電池の専門家が見れば、バッテリーに原因がある可能性は低いことは分かる。バッテリーだけの問題であんなふうには燃えない」

三菱自動車(7211) 日足

三菱自動車(7211) 日足

そして三菱のトラブルについては、「マンガン酸は熱暴走しにくいので、加熱・発火の原因は内部短絡(ショート)とみるのが妥当。バッテリーの構造欠陥ではなく、製造時に異物が混入した可能性が高いと推察できる」という。

この点については、三菱自動車も会見で「内部短絡の事象が見られた」「製造段階の問題とみている」と、同様の見解を述べている。

ただ、今回の三菱の対応は極めて迅速だ。同じバッテリーを搭載する車種の生産、登録、出荷を停止し、利用者には充電を控えるよう求めた。また、トラブルを起こした2台の車両は共に出荷前のものだったが、三菱はリコールの可能性も示唆している。

この対応には背景があった。

「昨年12月、三菱は国交省から『リコールに消極的』と厳重注意を受け、会見で謝罪もさせられた。しかし、消極的だったのは、原因が不確定だったから、報告ができなかっただけ。結局、三菱はリコール隠しの“前科”あるから厳しく扱われている。一種のいじめだ」(国交省担当記者)。

それだけに、不具合絡みの案件に三菱は過剰対応せざるを得ない。その姿勢が、GSユアサのバッテリーに対する不安感を高めてしまったきらいもあったようだ。

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