主要インフラに耐用年数迫る  公共投資関連一斉浮上の背景

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中央道上り線で2日に発生したトンネル事故を契機に、公共投資関連株が市場を席巻。中堅土木各社が値上がり率上位にズラリと並ぶ一方、大手ゼネコンでも大成建設(1801)や大林組(1802)が年初来高値を更新した。とりわけ大成建は、昨春大震災直後に付けた高値236円をも払い、2009年6月以来の水準に歩を進めている。これは、ちょうど先の政権交代直前の時期に相当。当初、「コンクリートから人へ」を旗印とした民主党政権から、「国土強靭化法案」を掲げる自由民主党への政権移行を読む動きが、人気化に拍車を掛けているようだ。

大成建設(1801) 月足

大成建設(1801) 月足

約18年前、1995年1月17日の阪神大震災直後から、“復興関連”と称して不動建設(現不動テトラ)が半月で、ほぼ3倍高の暴騰となったように、深刻な死亡事故をも「材料」にしてしまうのが相場の世界。事故を機に、ほかのインフラ施設でも一斉点検が実施され、大規模な補修、改築ニーズが顕在化するとの声が浮上している。関係者によると、そもそもコンクリート構造物の耐用年数は約50年。大規模なインフラ基盤構築を促した東京五輪から、既に48年、大阪万博からも42年が経過し、今後の対応は焦眉の急となりつつある。

対策研究会が発足した矢先の大参事

今回の事故は、中日本高速道路(NEXCO中日本)の中央道・笹子トンネルで発生したが、11月に、東日本、西日本と共同で「高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会」を設置した矢先の出来事だった。

「首都高なども老朽化が進んでおり、いつ事故が起こっても不思議のない状況にあることが再認識された。予算を要求する側にも説得力が増し、意見が通りやすくなる。もともと建設株は、内需関連の出遅れとして循環物色の一角に組み込まれてもよかった。今後、補正予算なども思惑視され、しばらくは期待相場が続くのではないか」(ちばぎんアセットマネジメント・奥村義弘調査部長)とみられている。

建設工事に関する自民党「政権公約」関連株
銘柄 コード
ショーボンドHD 1414
大成建設 1801
大林組 1802
鹿島 1812
鉄建 1815
東鉄工業 1835
PS三菱 1871
NIPPO 1881
前田道路 1883
東亜建設工業 1885
五洋建設 1893
ライト工業 1926
日本電設工業 1950
日本工営 1954
横河ブリッジHD 5911
大和証券選定

人からコンクリートへ!?

自民党政権復帰の可能性が高まっている点も追い風。今後10年間で、公共事業費(国費+地方費)200兆円(当初予算ベースで現水準の2倍)の投入を想定した自民党の国土強靭化政策にはバラマキ批判も付きまとうが、事故契機に、アナリストサイドからは「人命には代えられない。公共投資へのバッシングは一気に弱まるだろう」といった声も聞かれる。

今週のウィークリーで「自民党の政権公約と関連企業一覧」という特集を組んだ大和証券では、建設工事に関して、表の15銘柄を挙げている。レポート執筆は事故発生以前となるが、「政権公約との関連」とした各銘柄のコメントで、ショーボンドHD(1414)は「コンクリート補修最大手。耐震補強工事の受注増に期待感」。ライト工業は「高速道路等の法面の補強工事や地盤改良工事を得意とする」と記されていた。

建設株の株価は2極化が進んでいる。ここ高値更新銘柄が散見される一方、例えば清水建設は、11月14日にバブル崩壊後安値を更新し、中勢では今も安値圏で低迷。前週末に発表された「10月の建設工事受注高」が震災後初の2ケタ減に転じるなど、足元の状況は決して芳しいものではないためだ。それだけに選別眼が問われ、表の銘柄あたりは候補に挙げられてよさそう。

「予防保全」が本流に

そして、とりわけここで注目されてくるのがショーボンドHDだ。コンクリート構造物の補修専業大手は同社のみ。「当社の売上高の約75%が橋梁(きょうりょう)関係で、事故の生じたトンネル関係は5、6%程度にすぎない。日本の既存インフラでは、トンネルが約6500カ所にすぎないのに対し、15メートル以上の橋梁は16万橋に達するためだ。橋梁の半数は、向こう10―15年で(耐用年数と言われる)築50年を超過してくる。トンネルは比較的地震に強いと言われるが、阪神大震災時に明らかになったように、橋梁はそうではない。従来の公共投資の発想は、壊れてから対応するというものだったが、現在は『予防保全』としてのメンテナンスで耐用年数を延ばそうという方向に向かっている。政権がどう変わろうと(変わるまいと)、橋梁メンテナンスは不可欠。新幹線や空港などを新設するのとは訳が違う。橋梁メンテナンスにおける当社のシェアは15%程度と推測されるが、手掛けていない分野などもあるので、当社が入札に参加した工事に絞れば、シェアは約30%。圧倒的なトップと言っていいだろう」(ショーボンドHD・広報担当者)。

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