取材の現場から 軽規格の撤廃が浮上 スズキ「賛成」、トヨタ「消極的」の不思議

個別 取材の現場から 連載


スズキ(7269) 日足6カ月

スズキ(7269) 日足6カ月

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加により、軽自動車の廃止が進むと見られている。米国はかねて、「日本の軽自動車は非関税障壁だ」と訴えていた。税制優遇だけでなく、高速料金や保険も安い。近年、軽自動車は国内でシェアを伸ばし、今や占有率は36%超。3分の1以上が軽自動車だ。これが米国車の参入を阻んでいるのだという。とんでもない屁理屈だが、米国はそう主張する。

その中、日本政府は農産物の関税維持のため、自動車分野で譲歩し始めたという。日本は自動車の輸入関税はゼロだが、米国は乗用車で2.5%、トラックは25%もの関税がかかる。日本の自動車メーカーがTPP推進を唱えているのはこれが理由だが、日本政府は今、米国の自動車関税撤廃の先送りを容認する方針だ。

「こんな弱腰姿勢をとると、米国はあらためて非関税障壁を持ち出す。ただ、強制的に日本に米国車を買わせる数値目標は拒否する、と自民党は公約に掲げている。となると、軽規格の撤廃が浮上する可能性が出てくる」(自工会関係者)

軽規格の撤廃は、実は財務省も関心を示している。先の税制改正で自動車取得税の廃止が決まったが、その穴埋め財源が決まっていない。有力視されているのが、軽の優遇税制廃止。軽自動車税をなくし、自動車税に一本化するというものだ。そうなると年7,200円が約3万円に増税。シェア3分の1のクルマの保有税が4倍になる。財務省は軽廃止にちゅうちょはない。

ここで予想されるのが、政治力には定評のあるスズキ(7269)の巻き返しだ。が、スズキは必ずしも軽廃止に反対ではないという。

「軽自動車の車台(シャシー)は独特で、新興国向けのコンパクトカーに流用できない。軽規格廃止を受け入れれば、グローバルな商品展開がしやすくなり、中長期的にスズキのメリットにもなる。既に3年前、鈴木修会長はわれわれに、『軽自動車税を廃止するなら、軽規格も無くすのが筋だ』と述べていた」(自動車担当記者)

トヨタ(7203) 日足6カ月

トヨタ(7203) 日足6カ月

一方、トヨタ(7203)は軽廃止に消極的だという観測もある。トヨタディーラーはダイハツ(7262)の軽を販売しており、ディーラーの戦力となっているという。よってトヨタは、軽維持に動くとみられている。

余談だが、こんな話がある。

「貿易摩擦で米国からガンガンやられた当時、某トヨタ幹部が『軽は参入障壁だ』と気づき、北米トヨタを通じてビッグスリーにそう伝えた。当時トヨタは、軽優遇撤廃を主張していた。その主張が今、TPPという形でトヨタに降りかかってきた。皮肉なもんだ」(前出・記者)。

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