取材の現場から ファンケル創業者が現場復帰 『予防薬』市場は誕生するか

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ファンケル(4921) 日足

ファンケル(4921) 日足

化粧品メーカーのファンケル(4921)の創業者・池森賢二名誉会長が同社の経営第一線に復帰する。既に1月16日に執行役員となり、4月には会長執行役員に就任。創業会長による経営体制が再スタートする。

池森氏は2月15日、私財20億円を投じ、銀座6丁目に10階建ての予防医療施設「健康院クリニック」を開業させた。同クリニックは、池森氏の財団が運営するもので、現状ではファンケルと直接の関係はない。しかし、池森氏の経営復帰に伴い、クリニックの事業がファンケルのビジネスにも強く関わっていきそうだ。

池森氏は、医療費の高騰を強く懸念している。2010年度の国民医療費は、37兆4202億円。毎年1兆円以上のペースで膨らんでおり、このままならあと数年で国の税収42兆円を超える。池森氏はその対策として、全国民が40歳になった時点での人間ドック受診の義務付けを提案している。それにより「未病」と呼ばれる健康と病気の間のグレーゾーンを見つけ、発症前から手当てを施すべきだと訴えている。その未病対策のための予防医療を行うのが、クリニックを開設した目的だという。

もちろんドック義務付けとなれば、そのための国の費用負担も必要になるが、現状、胃がんで23日入院すれば国庫負担は283万円、肺がんで放射線療法や抗がん剤治療を行えば155万円。予防治療で発病を防げば、医療費を大幅に削減できるという理屈だ。

ここにファンケルはどう関わるか。例えば、人間ドックで糖尿病になりやすい体質だと分かったら、糖尿病防止のサプリメントを施す。サプリはファンケルの経営2本柱の1つだ。

ただ、予防医療はまだ成熟過程にある。そこで池森氏は、「医師や医薬品業界とサプリメント業界がタッグを組むことにより新鮮な風が吹くのではないか」として、クリニックを立ち上げたという。「その結果『医薬』と『サプリメント』の中間に『予防薬』という新たな範疇(はんちゅう)が生まれてもいい」と最近出た著書で述べている。このクリニックが、ファンケルの「予防薬」開発のための重要なデータセンターになるということだ。

さてここで気になるのが、人間ドック義務化だが、永田町筋によれば、「池森氏というと、中田宏・前横浜市長との関係がある。中田氏は国会議員に復帰し、そのルートで法制化に動くかもしれない。また地元・横浜中区選出の松本純代議士は今、厚生労働委員長だから、このルートも考えられる」とみられている。

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