2015年バイオ株展望 いちよし経済研究所 山崎清一首席研究員

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キーワードは「現実の利益」「グローバル力」

山崎清一首席研究員

山崎清一首席研究員

■投資着眼点

大手製薬のリストラに象徴される製薬を取り巻く環境変化を底流に、中堅製薬や創薬系バイオベンチャーに関心を寄せる機関投資家が増えてきている。

昨年、バイオベンチャー主要株で構成するバイオインデックスは、日経平均に対し久々にアンダーパフォームしたが、これは円安による輸出株の上昇とiPS関連の反動安が要因。今年は円安進行は一服するとみられ、イベント次第でバイオベンチャーに見直しの目が向けられてこよう。バイオ関連の評価軸は「現実の利益」に移ってきていることから、投資先の選定においては、近い将来の損益改善を予期させる「承認申請」「承認取得」といった重要イベントに目を配りたい。

創薬系バイオに注目

さらに言うと、国内市場だけを想定したバイオビジネスの天井は知れていることから、投資家の間でバイオにおいてもNHK連続テレビ小説「マッサン」のように「世界に通用する製品(銘柄)」を求める動きが出てきている。近年、バイオベンチャーの中にマザーズのIPO(新規上場)ガイドラインに合わせ、体裁だけ整える傾向もあるように感じられ、残念でならない。グローバルで闘えるバイオベンチャーは「創薬系」に多く、研究支援系ではPSS(7707・JQ)など一部に限られる。

■承認取得――UMN、そーせいに注目

イベントとしては今年、承認取得4件、承認申請6件が想定され豊富(表参照)。中でUMNファーマ(4585・東マ)は、主力製品の承認取得により今2015年12月期の黒字転換シナリオが見えてくる。そーせい(4565・東マ)は米国という主力市場での承認取得が見込まれ、業績に与えるインパクトも大きくなる。JCRファーマ(4552)の「ヒト間葉系幹細胞」は、日本で初めて細胞を使用する医薬品になる見通し。コストが高いため、それに見合った薬価が得られるか注目される。

■承認申請――トップピックはアールテック

承認申請が想定される銘柄の中で最も注目されるのは、アールテック・ウエノ(4573・JQ)。同社の網膜色素変性治療薬「オキュセバ」は自社開発品第1号。同治療薬は昨年11月にオーファン・ドラッグに指定されたことから、承認申請から1年内に承認されるとみられ、世界初の網膜色素変性治療薬になる可能性がある。

また、日本で承認取得となれば、米スキャンポ社が欧米での開発を始める。患者数は国内3万人、世界で100万人に上る。これまで受託生産で稼いでいたが、自社創薬による収益が加わり、新たな成長ステージを迎えることになる。まずは3月までに明らかになるであろうフェーズ3の結果に注目。

このほか、アンジェス(4563・東マ)のHGF遺伝子治療薬「コラテジェン」も国内承認申請が予想される。昨年11月施行の改正薬事法で導入された新制度(薬の安全性が確認され、有効性が推定された段階で条件付き承認)に基づいた承認事例になろう。一定の前進を遂げることは意義深い。シンバイオ(4582・JQ)の抗がん剤「トレアキシン」は初回治療から使用できるようになれば対象患者数が増え、これはポジティブ。

■デンドレオンを他山の石に

昨年、米国市場に上場したバイオ関連は58社と21世紀に入り最高水準。分野別では創薬が45社を占め、再生医療関連は「ヒストジェニックス」のみだった。昨年経営破たんした「デンドレオン」が象徴的だが、テーラーメイド型細胞・再生医療は治療費高価、原価率も高い。投資においても産業育成においてもサイエンス性とともにビジネス性も重要で、iPS細胞関連の投資・育成にあたり他山の石としたい。日本のバイオIPOは今年、5社程度と予想している。

創薬ベンチャーの主な承認・承認申請予定
銘柄 コード 区分 2015年の予想時期と内容
UMNファーマ 4585・東マ 承認取得 4-6月 季節性インフルエンザワクチン(日本)
そーせい 4565・東マ 承認取得 12月 COPD治療薬NVA237およびQVA149(米国)
JCRファーマ 4552 承認取得 9月 ヒト間葉系幹細胞(日本)
そーせい 4565・東マ 承認申請 口腔咽頭カンジダ症治療薬SO-1105(日本)
アールテック 4573・JQ 承認申請 網膜色素変性治療薬「オキュセバ」
3Dマトリックス 7777・JQ 承認申請 8-9月 粘膜隆起材
ナノキャリア 4571・東マ 承認申請 抗がん剤NK105
シンバイオ 4582・JQ 承認申請 抗がん剤「トレアキシン」初回治療適応追加(日本)
アンジェス 4563・東マ 承認申請 HGF遺伝子治療薬「コラテジェン」(日本)※条件付き
その他の主な重要イベント
ペプチドリーム 4587・東マ 年前半 BMS社へのライセンスおよび臨床試験開始、インフルエンザ治療薬のカニクイザル実験開始
アールテック 4573・JQ 3月まで 網膜色素変性治療薬「オキュセバ」フェーズ3結果発表
ナノキャリア 4571・東マ 3つの抗がん剤(6004、4016、6300)のフェーズ2開始(日米)
DWTI 4576・JQ 緑内障治療薬H-1129の治験開始(日本)
JCRファーマ 4552 ファブリー病治療薬JR-051治験開始(日本)

※いちよし経済研究所作成資料より

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