フューチャーVC 注目度高まる 地方ベンチャー・中小企業成長支援

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IPOを前提としない「新型ファンド」に関心

独立系ベンチャーキャピタル(VC)のフューチャーベンチャーキャピタル(8462・JQ)の新たな取り組みが一部で注目されている。

同社は1998年に設立された独立系VC。広く日本経済を見渡すと、地方企業の成長育成は欠かせないと考え、2001年から各地の金融機関や自治体と連携してファンドを作り運営してきたが、業績は赤字続き。

フューチャーVC(8462) 週足

フューチャーVC(8462) 週足

この間の経験を通じて同社は1つの結論を導き出す。「ライブドアショック、リーマン・ショックなどの影響を差し引いても、『企業の成長を支援し、企業価値を高め上げてIPO(新規上場)やM&A(企業合併・買収)で投資回収する』――というクラシカルな投資手法を地方で成り立たせるハードルは高く、コンスタントに成功事例を出すのは難しい。われわれが力を発揮し、各地で頑張っている人たちに報いる、新たな仕組みも考えなければ…」というもの。

一般的にベンチャーファンドは、IPOを前提に企業価値が10倍、20倍、30倍になりそうな企業に出資をする。また、ファンドは償還期限があることから、おのずと出資先企業には「できるだけ短期間で急成長すること」が求められる。しかし、急成長やIPOを志向する起業家は少数派で、地元経済を支える多くは安定成長志向。クラシカルな投資手法だけでは、地方のベンチャーや中小企業のニーズに応えられず、ファンドの収益も上がらない。

こうした現状を踏まえ、同社は出資先企業のIPOや急成長を前提としない、新しいタイプのファンドを作った。その第1弾が12年夏に盛岡信用金庫と共同で設立した「もりおか起業ファンド」。第2弾は「だいしん創業支援ファンド」で、昨年秋に大阪信用金庫と共同で設立した。いずれも、日本政策金融公庫と連携している。

新型ファンドは、(1)社債投資、(2)種類株投資、(3)買い戻し条項の整備――などにより、出資先企業がIPOしなくとも出資者が収益をきっちり上げられるようルール設計。ちなみに、買い戻しとは、企業がある程度成長したところでの「経営者」「企業(自社株買い)」「事業パートナー」などによる株式取得を指し、リファイナンス時に信用金庫などが買い戻し資金を含めて貸し付けるといった手法も想定される。

現在、同社が連携する金融機関、自治体のある地方は、青森県、岩手県、山形県、三重県、滋賀県、奈良県、堺市、神戸市の8つ。地方のベンチャーファンド運用実績で国内ナンバーワンといわれる同社の今後の動向が注目される。なお、その実績から「地方創生」に力を入れる自民党の勉強会にも呼ばれたもよう。(本紙1月22日付)

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