2015年相場 燃料電池車に夢乗せる 個人投資家300人アンケート

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「訪日客」「五輪」にも期待 92%が上昇相場を予想

世界初のFCV トヨタ「ミライ」

世界初のFCV トヨタ「ミライ」

2015年相場がスタートする。外部環境では為替、原油など海外マーケットに注意を払いつつ、需給面では外国人、国内年金資金など機関投資家が主導する展開が継続するとみられる。そうした中、個人投資家は株式相場についてどう考え、どう動こうとしているのか。日本証券新聞社では、個人投資家約300人を対象に株式相場についてのアンケートを行った(実施日などは別掲)。15年の有望テーマ、有望株などについて、興味深い答えが返ってきた。

トヨタ(7203)は世界初のFCV「MIRAI(ミライ)」を12月15日に販売開始。水素を供給する水素ステーションの設置計画が相次いで明らかになってきたことが投資家の関心を呼んだようだ。

FCVは水素と酸素を化学反応させて発電する燃料電池を動力源とする。二酸化炭素を排出せず、走行時には水しか出さない“究極のエコカー”。ひと昔前には想像できなかったことが現実となり、「夢に賭ける」という株式投資の本来の魅力をFCVが教えてくれたとも言える。

「有望テーマ」で最も票を集めたのは「燃料電池車(FCV)」。回答者の2人に1人が挙げた。

個人投資家300人アンケート
有望テーマ 票数
1 燃料電池車 134
2 外国人観光客 102
3 オリンピック 92
4 リニア新幹線 81
5 バイオ 64
6 地方創生 47
7 エネルギー 46
8 カジノ 44
9 自動運転 42
10 介護 29
有望銘柄 票数
1 トヨタ(7203) 33
2 岩谷産業(8088) 13
3 マツダ(7261)
ソフトバンク(9984)
7
5 東レ(3402)
野村証券(8604)
6
7 東芝(6502) 5
8 ユーグレナ(2931)
住友化学(4005)
4
2015年の株価は上がる?
上がる 92%
下がる 8%
NISA口座を持っていますか
持っている 79%
持っていない 21%
アンケート回答者:日本証券新聞社が主催したIRセミナー(12月17日・大阪、18日広島)への来場者を対象に実施。有効回答数は大阪が193名、広島が87名。「有望テーマ」は複数の回答が可能、「有望銘柄」は1銘柄の回答とした。来場者は、年齢が60代、70代、株式投資歴10年以上のベテラン投資家が中心。

もっとも、FCV普及のカギを握る水素ステーションの設置はどうかというと、政府の計画では「2015年度中に4大都市圏に100カ所」といかにもスピードは遅い。JXホールディングス(5020)傘下のJX日鉱日石エネルギーは12月25日に水素ステーションの1号店を開所したが、設置計画は「15年度は政府計画の100カ所のうち当社は40カ所」とそろりのスタートとなる。

水素ステーションの建設コストは通常のガソリンスタンド(約1億円)の4-5倍と言われ、これが設置の障害になっている。また、水素の販売価格(1kg当たり)については、岩谷産業(8088)は1,100円、JX日鉱日石は1,000円と発表している。満タンになる5kgの充填で500-600km走行できる計算になる。ただ、この販売価格では「採算割れ。常時利用する車両が1スタンド当たり2,000台になればペイできる」(JX日鉱日石)としている。

結局、水素ステーションの設置スピードが加速するには建設コストの低下、FCVの販売増加が必要になる。政府などは高圧ガス保安法などの規制改革改革などで20年ごろまでに建設費を約半分にすることを目指しているが、もう少しスピードアップはできないものか。大陽日酸(4091)は導入費を低く抑えた移動式の水素スタンドの開発を進めるなど、新たな動きも出ている。

また、トヨタ「ミライ」の価格は723万6,000円(税込)。国から購入補助金として202万円が支給されるので、約520万円。高級車「クラウン」並みと安価ではない。ホンダ(7267)は15年にFCVの市販を計画するが、2社の販売価格戦略も注目されそうだ。

先行きはバス、産業用車両にもFCVが登場する。東京都はオリンピックを契機に都営バスなどへの導入を計画している。FCVは普及の入り口に立ったばかりだが、大きな市場に育つことが期待される。そのためには、官民挙げてのインフラ整備が必要になってこよう。

■訪日客、景気を下支えか

有望テーマで2位に入ったのが「外国人旅行者」。訪日外国人の数は13年に初めて1,000万人を突破、14年は1,300万人に達した。あちらこちらで外国人旅行者の姿を見かける機会がめっきり多くなった。

では、外国人旅行者は日本でどのくらいお金を使っているのか。

国土交通省観光庁が発表した「訪日外国人の消費動向」(7-9月)を見ると、お土産、観光、食事など、1人の外国人旅行者が日本滞在中に支出する金額は13万762円。これに、旅行前に支払っている宿泊料金、交通費などを加えると、旅行支出は15万8257円となる。訪日外国人旅行者全体の消費額は7-9月で5,505億円(前年比41%増)に達した。

免税品の範囲が14年10月から広がっていることや、10-12月の旅行者数がさらに増えていることで、14年の消費額は2兆円に達したもようだ。

1人当たりの旅行支出額は国・地域別で違い、中国は23.6万円と抜きん出ている。訪日客数の伸びは中国が最も大きい(14年1-11月は前年比2倍)。

訪日外国人(特に中国人)が今のペースで増えると、15年の消費額は3兆円に近づくことが予想される。ホテル、飲食店、百貨店や家電量販店などの小売、カメラ、菓子など幅広い業種が恩恵を受けることになろう。

■ビッグプロジェクトが進行

「東京オリンピック」「リニア中央新幹線」も上位に入った。

リニア中央新幹線(写真提供:JR東海)

リニア中央新幹線(写真提供:JR東海)

20年の東京オリンピック・パラリンピック。この開催に合わせて首都圏再開発の動きが始まっているのはご承知の通り。15年2月には大会基本計画が策定され、施設の着工が始まる。メーン会場となる新国立競技場の施工予定者には大成建設(1801)、竹中工務店が決まり、15年10月着工の予定。

JRの品川-田町駅間の新駅開業など、オリンピック開催に合わせたプロジェクトが加速度的に進行しよう。

リニア中央新幹線の東京(品川)-名古屋間は27年の開業を目指す。JR東海(9022)は今春にも本格的な工事を開始する。総事業費は5兆円を超える。最高時速506km。品川-名古屋間の所要時間は約40分と現在の約1時間半から大きく短縮される。営業区間の86%はトンネルとなるため、トンネル工事に強い建設、残土処理に強い企業などが関連銘柄に挙げられる。

■有望株は多種多彩

「有望株」への回答では、トヨタ、岩谷産業などがまとまった票を集めたが、名前が挙がったのは100銘柄以上。投資家それぞれが有望株を胸に秘めていることが分かる。また、15年の相場が「高くなる」と答えた人は92%、NISA(少額投資非課税制度)口座を「持っている」と答えた人は79%だった。

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