トップインタビュー カプコン 辻本春弘 代表取締役社長 「マルチプラットフォーム戦略」で成長持続

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2大タイトル投入で下期巻き返し図る

辻本春弘代表取締役社長

辻本春弘代表取締役社長

ソーシャルゲームの台頭など、株式市場で注目を浴びるゲーム業界。ヒットコンテンツを多数抱えるカプコン(9697)に対する投資家の関心は強い。今後の戦略などを辻本春弘代表取締役社長に聞いた。

――業績動向からお聞きします。

「2015年3月期の上期(4-9月)は51%減収、42%営業減益だった。前年同期に『モンスターハンター4』が大ヒットした反動と上期の大型タイトルの不在が要因だ。一方で、計画対比では売上・利益とも上回っており、家庭用ゲーム機向けのダウンロード販売が想定以上となるなど、主力のデジタルコンテンツ事業における好材料も確認された」

――家庭用ゲーム機向けの販売好調の理由は。

「当社ではパッケージゲームの販売にとどまらず、数年前からゲームのダウンロード販売を強化している。デジタルコンテンツ事業におけるダウンロードコンテンツ(DLC)の比率は前年同期の17%から43%にまで上昇。上期の好調を受けて、デジタルコンテンツ事業の通期計画を、売上高で500億円から565億円(期初計画比13%増)に、営業利益で68億円から80億円(同18%増)に修正した」

「DLCについては、既存タイトルの廉価版を投入したり、タイムセールを過去の購買者にメールで通知して購入を促すなど、機動的な販売戦略の立案・実行が奏功した。原価低減による利益率向上や在庫リスクの払拭など業績寄与度も高い」

――主力事業の好調にもかかわらず、通期の業績予想を据え置いた。

「パチンコ・パチスロ機の開発・製造を含むアミューズメント機器事業において不確定要素が発生したため、全体では売上高800億円(前期比22%減)、営業利益105億円(同2%増)という期初計画を据え置いた。9月からパチスロ機の型式試験方法が変更されて、機種投入計画の見直しを余儀なくされたが、この影響は他事業の収益性向上で補完可能と考える」

――下期の注目点を教えてほしい。

「2大タイトルをグローバルで投入する。『モンスターハンター4G』を国内では10月11日に投入済みだが、2015年初頭には欧米での発売を予定している。年間販売計画は390万本。足元で220万本を超えており、出足は順調といえる。海外については2013年3月に発売の『モンスターハンター3(トライ)G』以来の新作とあって、ファンが集う各種コミュニティサイトでは既に大きな盛り上がりをみせている」

「前作で130万本を売り上げた『バイオハザード リベレーションズ2』も15年初頭に投入予定。こちらでは物語を分割して販売する『エピソード配信』にダウンロード版として初めてチャレンジする。テレビドラマの視聴者が回を重ねるごとにのめりこむよう、ユーザーの期待感を徐々に高めることで口コミの効果的な拡散なども期待している」

――株式市場ではソーシャルゲームの勢いが勝っているようだが。

「確かにガンホーやミクシィなどは営業利益率40%超との高収益体質で脚光を浴びている。当社は『マルチプラットフォーム戦略』を推進しており、彼らとは立ち位置が異なる。家庭用ゲーム機からスマートフォンにいたるまで、デバイスを限定せずにあらゆる形式でコンテンツを供給。急激に技術革新が進むゲーム業界を30年以上もけん引し続けながら、着実に業績を積み上げてきた」

「グローバルで通用するヒットコンテンツとそれを活用するノウハウを多数保有していることも大きな強みだ。ゲームのキャラクターをアニメやグッズ、ハリウッド映画にまで展開する『ワンコンテンツ・マルチユース戦略』で収益の最大化を図りつつ、今後も効率的な成長を続けたい」

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