太陽光受け入れ問題解決関連 「賢い電線網整備」需要発生も

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電線株、断路器株など恩恵

複数の電力会社(九州電力、北海道電力、四国電力、東北電力)での、太陽光を中心とする再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく契約手続きの中断を受け、太陽光関連物色も変調。

「申込量がすべて接続された場合、太陽光・風力による発電が消費電力を上回り、それにより送電網の容量を超え、停電など電力安定供給に支障が出る恐れがある」ことが手続き中断の背景だが、“問題緩和”につながる方策の1つとして、「揚水式水力発電所」がスポットライトを浴びる可能性がある。

同発電所は、発電所の上部と下部に大きな池(調整池)を持ち、電力需要の少ない時に下部の調整池から上部の調整池に水をくみ上げ、電力需要の多い時に下部の調整池に水を落とすことで発電する。もともとは、一度動かすとなかなか止められない原発、火力で作られた電力の効率利用を目的に設置され、夜間に原発などで作られた電力を使って水をくみ上げ、需要の多い昼間に水を落として発電するのがメーンの使われ方だった。

その下部調整池から上部調整池に水をくみ上げる「揚水運転」を昼間に行い、揚水運転にかかる電力に太陽光などを活用することを電力会社は検討している。

設備はできつつあり、10月1日に営業運転を開始した北海道電力の揚水式水力発電所「京極発電所」も1つ。同発電所には同社としては初めて、周波数を一定に保つよう瞬時に入出力調整を行う「可変速揚水発電システム」が搭載され、これにより周波数が安定しない太陽光、風力など再生エネルギーも受け入れやすくなる。このほか、東京電力(9501)が6月に営業運転を始めた揚水式水力発電所「葛野川発電所4号機」にも同システムが採用されている。

東京電力も一部地域で太陽光の受け入れを制限しているが、これは「送電線や設備の許容量」に起因するもの。電線をより性能が高く太いものにし、状況によって断路器、変圧器を設置すれば課題は解消できるようだ。

富士電機(6504) 週足

富士電機(6504) 週足

同社管内で再生エネの発電量増加を原因に連携制約が発生、もしくは、今後制約が想定されるエリアは、栃木、群馬、茨城、千葉、山梨、静岡、島しょ部で、これらでは電線および断路器などの需要増加(=コスト増加)が想定される。東電は群馬県で試験的にこれらコストを太陽光発電事業者などと分担する方向で動いており、この方式が他エリアに広がる可能性がある。この恩恵を享受できる銘柄として古河電気(5801)フジクラ(5803)など電線株や、富士電機(6504)戸上電機(6643・2部)といった断路器メーカー、電力架線用金具首位のイワブチ(5983・JQ)などが挙げられる。

また、「揚水式水力発電所を太陽光などが生み出したエネルギーの“蓄電池”として本格的に利用することも想定した“賢い電線網”を全国規模で整備するには3,000億-5,000億円掛かろうが、日本は福島原発事故前で原発に2兆円以上の資金を充てていた。それを考えれば、できないことはないだろう」(業界関係者)との見方も。太陽光関連株もいずれ落ち着きどころを探ることになりそう。上場インフラ市場の開設(2015年予定)も併せ、関連株が脚光を浴びる可能性があることを頭の片隅にとどめておきたい。

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