取材の現場から 自動車業界に国内販売の限界!?

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見えてきた業界再編の機運 端緒はスズキの動き

経済産業省が来年度の税制改正要望にあたり、自動車の「受注」データを公表した。

通常、自動車需要は販売台数で見るが、自動車は受注を受けてから生産するので、受注データはビビッドな需要動向を示す指標となる。自動車業界では受注データを公表してはいないが、経産省には各社が内々で報告をしている。そうした普段見られない数値が今回出たのだ。

スズキ(7269) 週足

スズキ(7269) 週足

その受注実績を見ると、消費増税の掛け込み需要のピークは何と1月。1月をピークに受注台数は急落し、3月以降の前年比はずっとマイナス10数%台と大きく低迷している。いかに需要が冷え込んでいるか如実に分かる。来年10月には消費税が10%になる。そうなれば国内自動車需要は、さらに冷え込むだろう。

だが、国内がダメでも自動車には海外市場がある。海外でいかに伸ばすかが各社の経営を左右することになる。ただ海外展開には資本力が必要となる。グローバルで1,000万台以上を売る力がなければ、生き残れないとも言われる。その力があるのはトヨタ(7203)、米GM、独VW、そして仏ルノー・日産(7201)の4グループとされ、「1,000万台クラブ」と称されている。ほかの自動車メーカーも、1,000万台クラブ入りを目指し、他メーカーとの合従連衡を模索している。その中で今、注目されているのがスズキ(7269)だ。

スズキは現在、VWとのトラブルを抱えている。両社は2009年に資本提携したが、思惑の違いから、お互いが約束違反だとして現在、国際仲裁裁判所で係争中だ。

「その裁判が年内にも決着するとみられている。VWが保有するスズキ株19.9%をスズキに譲渡し、スズキはVWに賠償金を支払うというあたりが落としどころとみられている」(自動車担当記者)。

裁判が終結すれば、スズキも新たなパートナー探しを始めるのだろう。その相手としてフィアットの名が挙がっている。スズキはフィアットからディーゼルエンジンの供給を受けている。フィアットはクライスラーを傘下に置き、マツダ(7261)と提携している。この連合にスズキが入るのではないかとみられている。

「ただ、フィアットでは1,000万台クラブとして弱い。やはり、かつて資本提携していたGMとのアライアンスをスズキは狙っているのではないか」(前出・記者)。

だが、「鈴木修会長が退けば、トヨタとの連携だってあり得る」という業界筋の見立てすらある。何が起きても不思議でない状況だ。

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