ZOOM UP タムラ製作所(6768) 足元は会社計画上回る 来期、18年ぶり最高益へ

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グローバル最適化で収益力アップ

創業90年を迎えたタムラ製作所(6768)が戦略転換、構造改革により再成長ステージに突入した。同社はトランス、リアクタ大手で、はんだ材料、絶縁膜、LED(発光ダイオード)なども手掛ける。海外生産比率は7割強。

タムラ製作所(6768) 週足

タムラ製作所(6768) 週足

営業利益は前々期5億6100万円に対し、前3月期実績は24億900万円、そして今期は40億円(前期比66%増)を計画している。これに対し今第1四半期(4-6月)は営業利益8億8700万円(前年同期比3・7倍)と会社計画を上回る伸びを実現している。

会社側は来2016年3月期売上高920億円(今期会社計画比9・5%増)、営業利益64億円(同60%増)を見込んでおり、売上高では08年3月期に記録した過去最高(910億円)を8年ぶり、営業利益は1998年3月期にマークした過去最高(50億円)を実に18年ぶりに更新することになる。

なぜ、ここにきて業績成長が目覚ましいのか。背景には時代の変化に対応した戦略転換と構造改革がある。

過去10数年の足取りを見てみると、「IT黎明(れいめい)期に携帯電話やデジタルカメラのアダプタで高シェアを獲得し、我が世の春を謳歌(おうか)」→「ITバブル崩壊を受け戦略転換。薄利多売の民生用電子部品から産業機械向け、エネルギー向けなど高付加価値品にシフト」→「リーマン・ショック、欧州危機などにより世界的に需要が細り、2009年-13年3月期業績低空飛行」→「13年3月期に電子部品を中心にグローバル最適化に向け構造改革実施」――と推移。

同社のいうグローバル最適化とは、グローバルベースで生産地最適化、現地開発推進、地域本社機能強化を進め、効率的な生産体制を構築することを指し、日本は付加価値の高い業務に集中する。具体的には、欧州ではイギリスから東欧に生産集約、アジアではマレーシアからミャンマーへ、中国からバングラデシュへ生産をシフトするとともに、中国および韓国では現地開発を推進し、イギリス、中国、シンガポールは地域本社機能を強化した。バングラデシュでは買収先の光波が1997年に生産を始め、現在はLEDだけでなく電源の組み立ても行う。

こうした“現地化”により、もともと利益を取りにくい電子部品を固定費最適化で収益力を強化できたところへ、力を入れてきた産業機械・ロボット向けやエネルギー向けの世界需要が戻ってきたことが足元業績好調の背景。

伸びる市場をとらえ、高付加価値なオンリーワン、ナンバーワン製品を数多く手掛けていることも持ち味。その1つであるフレキシブル基板向け黒いレジスト材なども採用量拡大が見込まれ、先行き受注見通しは明るい。

また、同社は超大型トランスなど重電向け大型部品をグローバルで生産できる唯一の企業という顔を持つ。新興国の太陽光・海上・風力発電向けに需要拡大が見込まれるほか、先進国では送配電時の電気ロスを抑制できる「直流配電システム」が需要拡大方向にあり、採用拡大に期待が持てる。

時価はPER12倍。今期および来期とも業績視界良好で、まずは2007年高値713円を見据えた株価形成が期待できそう。

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