第7回 ワイエイシイ(6298) まずPBR1倍回復を意識

個別 平野憲一の相場表街道/裏街道 連載


平野 憲一氏

平野 憲一氏

東証1部上場企業でも世の中に忘れられたように存在する割安株が多く見受けられます。今回紹介するワイエイシイ(6298)がその1つです。予想PERこそ13.56倍と平均並みですが、予想配当利回り3.32%(8月11日現在)、実質PBR(株価純資産倍率)は0.41倍です。しかも時価総額63億円に対して保有現預金は78億円あります。特定株比率が355%しかなくいわゆる割安株ファンドが買いそうな顔をした銘柄です。既に大株主上位に「信託口」がずらり並び始めています。

こういった割安株は地味で低成長な会社が多いのですが、同社の事業フィールドを見ると、(1)スマートフォンや大型4K/8Kテレビ向けのプロセス装置として注目されている精密熱処理関連、(2)次世代照明として期待されるFEL(平面発光ランプ)、(3)工業計器、電力・エネルギー制御装置など最先端有望事業がずらりと並びます。また最近では大倉電気の子会社化に代表されるM&A(企業合併・買収)戦略を積極化し、攻撃的経営を推進しています。にもかかわらず2015年3月期事業戦略は「高収益体質の確立」という攻撃と安定のバランスのとれた企業です。

先週末、第1四半期決算が発表されました。進捗(しんちょく)率が悪く、前年同期に比べて赤字幅拡大で月曜日に大きく売られていますが、連結の通期予想売上高180億円(前期比23.9%増)、営業利益7億円(同63.7%増)、経常利益6億8,000万円(同24.4%増)、1株利益48円21銭(同80.7%減、前期は大倉電気の負ののれん代を計算した変則数字)や、配当20円は変えておらず、会社側は通期の大幅増収増益に自信を持っているもようです。マーケットが正当に評価したらひとまずPBR1倍を意識した株価になっていくのではないかと思っています。ちなみに大倉電気がカウントされていない前々期1株当たり純資産でも1,218円。

著者紹介 平野 憲一(ひらのけんいち)
1970年立花証券入社、2006年執行役を経て、2014年7月独立。現在、ケイ・アセット代表。“株一筋40年”のマーケットアナリストとして鋭い分析に定評がある。メディアへの出演多数。日本証券アナリスト協会検定会員。
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