北陸特集 投資魅力膨らむ北陸銘柄で資産形成

個別 概況


北陸3県(富山・石川・福井)と証券業界との結びつきは深い。北陸3県には地元資本による地域発祥の証券会社(地場証券)が9証券も存在している。四国にも4県で6つの地場証券が存在しているが、北陸ほど地場証券が多く存在する地域は珍しい。それはすなわち、北陸3県には確かな投資家層が存在するとともに、投資家が育つ県民性や土壌が育まれていると推測することができる。さらに、北陸3県には製造業を中心に成長企業、海外展開が加速するグローバル企業が多数存在する。来春の「北陸新幹線開業」を控え、投資対象としても「北陸関連銘柄」は株式市場でも関心を高めてこよう。

迫る!!「北陸新幹線開業」

来年春の「北陸新幹線開業」を控えた5月24日、長野から金沢までの区間レールが1本につながった。北陸新幹線は長野新幹線を延長する形で東京と金沢間を、約2時間半で結ぶ。これは、金沢―新大阪間と同じ所要時間である。近畿圏との関連が深かった北陸経済圏が首都圏ともつながりを強めてくることになる。北陸新幹線で活躍する新幹線車両の名称は「かがやき」「はくたか」「つるぎ」。開業に向けて北陸ではさまざまなイベントが開催され始め、地域活性化に向けた再開発が多様な形で進み始めている。これはもちろん、北陸に基盤を置く企業にとっては経済的なメリットをもたらすだけでなく、景況感の改善にもつながり北陸地域の景気浮揚にも直結する。実際、北陸経済は国内的に見ても浮揚力を高めている。

「地域経済報告」で上方修正

北陸地区の経済活動は、全国的に見ても良好な方向に進んでいる。これは、日銀が4月17日に発表した4月の「地域経済報告」で読み取ることができる。

「地域経済報告」(通称・さくらレポート)とは、日本銀行が全国の日銀の支店を通じて集めた地域経済の報告書。2005年春から年4回開く支店長会議に合わせて公表(1月/4月/7月/10月)されており、全国を9つのブロック(北海道/東北/北陸/関東甲信越/東海/近畿/中国/四国/九州・沖縄)に分け、「個人消費」「生産」「設備投資」などの動向を分析した上で、各地域の景気判断を示すもの。全国の経済情勢を把握できるため、企業短期経済観測調査(短観)などと合わせて金融政策運営の判断材料に活用されている。

その4月の「地域経済報告」において、景気情勢について、全9地域のうち、北陸地域1地域のみ「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかに回復している」として、前回1月から判断が上方修正され、8地域は据え置かれた。つまり、北陸地区だけが景気の好転を示していることが注目される。

特に注目されるのは「高水準で推移している」との表現が唯一使われている「生産」で、北陸地区企業の好調な生産活動が株式市場でも関心を集めてくるだろう。

「グローバルニッチトップ企業100選」

高度な技術を持った企業が集積していることも北陸地域の特色でもある。それを象徴する一つの発表が今年3月にあった。経済産業省は、国際市場の開拓に取り組んでいる企業のうち、ニッチ分野において高いシェアを確保し、良好な経営を実践している企業を「グローバルニッチトップ企業100選」として選定した。その選定企業の一覧には北陸企業が多数名を連ねた。上場企業だけを取り上げても、機械・加工分野では、津田駒工業(6217)「ジェット式(空気圧や水圧により糸を飛ばす)織機」、消費財・その他分野で小松精練(3580)「繊維改質技術」、セーレン(3569)「繊維製品の一貫生産ビジネスモデル『ビスコテックス』」など。このほか、株式未上場企業では9社が選定対象に入っている。将来に向けての「株式の新規上場予備軍」も着実に育ってきているといえよう。

こうした中、具体的な株式投資による資産形成の上で手掛かりとなるのは、株主を大切にしている企業、事業成長が著しい業績好調企業ということになり、「JPX400」「海外展開」がキーワードとなっている。

投資の視点「JPX400」「海外展開」

JPX400、正式名称「JPX日経インデックス400」は日本取引所グループと東京証券取引所、日本経済新聞社が開発した新指数(※本紙1面DATA BOX内に掲載)で今年1月から算出が開始された。資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした「投資者にとって投資魅力の高い会社」として400銘柄選出されて指数化されている。優しく言えば、「しっかりとした利益を出し、株主を重視した経営をしている企業」ということになる。約120兆円の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、運用ベンチマーク(運用指標)としてこの新指数を採用している。北陸関連銘柄としては、ほくほくフィナンシャルグループ(8377)が採用されている。「JPX400」銘柄としてメガバンク、地方銀行株は25銘柄が選定されているにすぎないが、そのうちの1社となっている。(※本紙の相場欄では採用銘柄に「JPX」の記号をマークしている)

建設・設計業者、官公庁を得意先として、商業施設やプレハブハウス、立体駐車場をメーンに業績拡大中の日成ビルド工業(1916)は、その事業戦略の一翼が海外(アジア)展開にシフトしている。2013年7月のタイ現地法人に続いて今年2月にはシンガポール現地法人を設立。この間に海外担当取締役の常駐も行っている。中国では駐車場運営・管理事業に特化し、タイではシステム建築・立体駐車場の建設事業を展開するとともに、ミャンマー市場の開拓促進を図る。シンガポールでは、立体駐車場の建設事業を展開する一方、マレーシア市場の開拓を目指している。

また、田中精密工業(7218・JQ)は世界5極体制の総合力を活かして自動車産業に貢献するグローバル企業の1社。インド、アジア大洋州地域の自動車および二輪車市場は今後も継続的な拡大が見込まれる中、今年4月にタイのバンコクに子会社を設立。アジアでの生産拠点であるタイに加えて、インドでは昨年6月から顧客への納入を開始、ベトナムでは今年2月から生産を開始している。新会社はインド、アジア大洋州地域での最適な事業運営を目指す。また、高技術を持つ同社はホンダのF1エンジン用部品を数点納入した実績を過去に持っている。ホンダがF1レースに復帰することになれば、同社の技術力が再評価される流れにもなりそう。

このように、社会的にも経済的にも、そして相場的にも北陸地域は株式市場としてさまざまな形で注目度を高めている。

■60社超の北陸発祥銘柄が上場

富山、石川、福井の北陸3県に本店所在地を構える企業は約60社を数える。東証(JASDAQ含む)を主体に経済的、地理的に関係が深い名証への上場企業も複数存在している。その業種も、建設、機械、精密、小売り、コンピューター関連と多岐にわたっている。中で、ジェットルームの津田駒工業(6217)、パソコン周辺機器のアイ・オー・データ機器(6916・JQ)など特定分野で突出した強みを持つ企業も数多くある。

さらに、企業として長い歴史を持ち北陸を縁(ゆかり)の地とする上場企業もある。機械加工、産業用ロボットなどのマシニング事業を手掛ける世界的メーカーの不二越(6474)は、本社機能が富山市不二越本町と東京都港区東新橋の2本社制。住宅建材大手の大建工業(7905)は富山に本店、大阪に本社を置く。スポーツ用品大手のゴールドウイン(8111)も富山に本店、東京に本社を持つ。いずれも創業の地は富山だ。このほか、建設業大手の一角を占めトンネル土木と超高層ビル建設に強い熊谷組(1861)は、本社を東京都新宿区に構えるが、本店はその発祥の地である福井県。北陸三県からは日本経済の成長を支える企業が次々と誕生している。

最近では、ボトリングシステムをはじめ各種メカトロニクス機器を手掛ける澁谷工業(6340)の再生医療分野での展開力が株式市場で注目された。2013年7月末に845円近辺だった澁谷工業の株価は1カ月を待たずして8月22日には2,980円まで3.5倍の急騰劇を演じ、現在でも株式市場の人気銘柄となっている。

北陸3県に本社を構える上場企業および関係の深い企業
証券コード 上場市場 銘柄名(企業名) 6/6株価
【富山県】 1930 1部 北陸電気工事 479円
3168 東2 クロタニコーポレーション 543円
3306 東2 日本製麻 45円
3443 1部 川田テクノロジーズ 3,780円
3951 東2 朝日印刷 2,245円
4242 JQ タカギセイコー 239円
4541 1部 日医工 1,506円
4577 1部 ダイト 1,616円
5742 JQ エヌアイシ・オートテック 335円
5757 名2 CKサンエツ 1,168円
5932 1部 三協立山 2,077円
6474 1部 不二越 684円
6905 1部 コーセル 1,198円
6977 東2 日本抵抗器製作所 126円
6989 1部 北陸電気工業 145円
7218 JQ 田中精密工業 830円
7475 東2 アルビス 284円
7888 JQ 三光合成 274円
7905 1部 大建工業 301円
8111 1部 ゴールドウイン 470円
8365 名2 富山銀行
8377 1部 ほくほくフィナンシャルグループ 205円
9070 1部 トナミホールディングス 220円
9361 東2 伏木海陸運送 244円
9505 1部 北陸電力 1,314円
【石川県】 1916 1部 日成ビルド工業 278円
1989 東2 北陸電話工事
3398 1部 クスリのアオキ 3,740円
3409 東2 北日本紡績 39円
3580 1部 小松精練 566円
5343 名2 ニッコー 122円
5971 JQ 共和工業所 756円
6150 JQ タケダ機械 234円
6155 東2 高松機械工業 640円
6208 1部 石川製作所 115円
6217 1部 津田駒工業 145円
6340 1部 澁谷工業 2,779円
6373 1部 大同工業 259円
6380 東2 オリエンタルチエイン工業 115円
6737 1部 EIZO 2,754円
6916 JQ アイ・オー・データ機器 713円
7831 東2 ウイルコホールディングス 118円
7870 名2 福島印刷 356円
7945 名2 コマニー 1,227円
7949 1部 小松ウオール工業 2,414円
8247 東2 大和 100円
8285 東2 三谷産業 205円
8363 1部 北國銀行 335円
9950 JQ ハチバン 441円
【福井県】 1861 1部 熊谷組 280円
2772 1部 ゲンキー 2,734円
3408 1部 サカイオーベックス 175円
3569 1部 セーレン 827円
4080 JQ 田中化学研究所 449円
4463 名2 日華化学 780円
5273 1部 三谷セキサン 1,484円
6163 JQ エイチアンドエフ 1,381円
7646 1部 PLANT 1,003円
7821 1部 前田工繊 1,293円
7871 東2 フクビ化学工業 490円
8066 東2 三谷商事 2,296円
8362 1部 福井銀行 237円
9685 JQ KYCOMホールディングス
9790 1部 福井コンピュータホールディングス 837円
9963 1部 江守グループホールディングス 1,777円

※赤字は「JPX日経400」採用銘柄

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