特報 アコーディア・ゴルフ 配当は今期36円に大幅減 ゴルフ場流動化の影響は

個別 特報 連載


5月9日、アコーディア・ゴルフ(2131)が2014年3月期決算を公表した。結果は売上高が前年比101.1%の919億円で営業利益は前年比8%減の122億円。当期純利益は23%減の46億円だった。

計画対比での乖離(かいり)はけっこう大きい。売上高こそ2.4%ショートで済んだが、営業利益は18%のショート。当期純利益は26%のショートである。

もっとも、14年3月期は前半から計画ショートが続き、上期の着地は売上高が2.6%、営業利益で6%、当期純利益で5%のショートだった。下期に入って第3四半期で若干盛り返したものの、悪天候に泣いた2月の影響で、第4四半期は営業損益が前期の10億円から15億円も悪化し、5億円の赤字になってしまった。

結果、上期で5億円弱だった営業利益のショートが下期では22億になり、通期では27億円もショートした形だ。

売上高1割、利益3割の業績予想修正公表基準に該当しないショート幅なので、最後まで下方修正の発表はなし。もっとも四半期ごとの決算を見ていれば進捗(しんちょく)の遅れは明らかだったので、この結果が特段意外性を持って受け止められたということはないだろう。

問題は今15年3月期予想だ。アコーディアは今年3月下旬に、日本経済新聞のリークをきっかけに、保有ゴルフ場の7割を流動化する、いわゆるアセットライト計画の実施を公表している。保有する133コースのうち、90コースを国内に設立するSPCに譲渡。そこから運営受託を受けて受託収入を受け取るというもの。

SPCは日本に設立する日本法人だが、設立する親会社はシンガポール籍のファンド。このファンドをシンガポールで上場させ、出資金全体の75%を投資家から集め、残り25%をアコーディアが持つ。

アコーディアはSPCへの90コース売却で手にする1117億円と、大和証券グループから借りる新株予約権付きローン200億円の合計1300億円で、村上ファンド系のレノなどの保有株を買い取るべく、発行済みの3割規模の自己株買いを実施する。

これでROE(自己資本利益率)が現在の6%から10%台に上がるということは公表したものの、アセットライト実施後のアコーディアの姿がいまひとつ判然としない開示だったので、今回の決算発表で明らかにされるであろう、15年3月期の業績予想に注目が集まっていたことは言うまでもない。

今回アコーディアが公表した予想売上高は、6月の株主総会でアセットライト化が可決されたら、8月に90コースの譲渡を実施する前提で組まれている。受託手数料の計上は16年3月期からなので、今期は売上高が減るだけになる。

従って、上期は133コース4カ月分プラス43コース2カ月分、下期は43コース6カ月分だという。

注目すべきは当期純利益だ。1株当たり純益は83円63銭と、前期の44円98銭の1.85倍。それでもPGMからの敵対的TOB(株式公開買い付け)対策で掲げた9割配当をわずか2期でやめて配当性向を43%に下げるので、配当は前期の56円から大幅に下がって36円。

しかも、15年3月期はコース売却益が特別利益に織り込まれているはずなので、上期の59億円は売却益込みということになる。

アコーディアは買収を重ねてきた会社なので、のれんの負担が大きく、実効税率は53%という高水準。このため、上期の税引前利益は128億円となり、推定100億円程度の売却益が発生する計算になる。

だが、16年3月期以降はここまでのコース売却益は見込めない。残る43コースは権利関係の整理などがあって今回は売却対象にできなかったコースなので、16年3月期に43コース全部を売却できるかどうかは分からない。その後はもはやこれほどまとまったロットでの売却はあり得ないし、第一、現在保有している133コースの大半は、破綻(はたん)コースを安く買いたたいたものだからこそ含み益もある。

今下期の経常利益計画28億円が、アセットライト実施後の下期のスタンダードとすれば、経常利益は年間65億円前後。売却益はないものとして、ここから高い実効税率の税負担を差し引くと、純益は30億円程度になってしまう。

いくら自己株取得効果が効くとはいえ、純益が30億円では一株純益は34円程度になってしまう。そうなれば配当は15円である。

16年3月期以降、受託収入が上乗せされるとはいえ、一株純益が倍増するような話にはならないはずだから、36円配当ですら今季限りと考えるのが妥当だろう。

果たしてこれで6月下旬開催の総会決議は通せるのか。アコーディア経営陣が本気で総会決議を通したいなら、もう一段の踏み込んだ説明が必要になるだろう。

アコーディア・ゴルフの半期別業績推移 単位:100万円
決算期 売上高 営業利益 EBITDA 経常利益 純益
2007/3 35,060 7,007 8,674 6,509 6,699
33,640 4,773 6,613 4,036 3,771
68,700 11,780 15,278 10,546 10,470
08/3 40,205 7,245 9,359 6,720 5,391
37,300 5,319 8,012 4,351 4,191
77,504 12,565 17,372 11,072 9,581
09/3 46,304 7,648 10,749 6,369 4,119
41,138 5,045 10,051 4,073 4,392
87,442 12,693 19,164 10,442 8,511
10/3 46,316 8,997 12,419 8,207 4,341
41,056 5,089 8,980 4,166 6,097
87,372 14,086 21,399 12,372 10,438
11/3 46,727 8,431 12,002 7,528 3,759
39,966 4,885 8,662 3,932 4,362
86,693 13,316 20,664 11,475 8,121
12/3 44,915 6,860 10,715 6,036 8,421
41,883 5,741 9,677 4,690 2,872
86,798 12,601 20,392 10,726 11,293
13/3 47,805 7,073 11,039 6,353 3,672
43,115 6,230 10,700 4,787 2,353
90,920 13,303 21,328 11,140 6,025
14/3 48,390 7,319 11,359 6,387 3,130
43,593 4,927 9,154 3,931 1,487
91,983 12,246 20,513 10,318 4,617
15/3 上計 43,700 4,800 8,200 2,400 5,900
下計 24,400 3,900 6,200 2,800 1,300
通計 68,100 8,700 14,400 5,200 7,200
著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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