取材の現場から ボーイング787トラブルの怪 GSユアサへの立ち入りに疑問の声

個別 取材の現場から 連載


GSユアサ(6674) 日足 MA(25/75)

GSユアサ(6674) 日足 MA(25/75)

 「準国産」と鳴り物入りで導入されたボーイング787(B787)で、トラブル問題が発生している。

 昨年末から不具合が複数報告されていたが、今年に入り、発火や燃料漏れといった深刻なトラブルも続出。1月16日にANA(9202)のB787が、「操縦室から煙が出た」として高松空港に緊急着陸。国交省が調査したところ、バッテリーが炭化していたことが判明。米連邦航空局(FAA)と国交省は、B787の運航停止を命令。21日には、FAAと国交省が、バッテリーを製造したGSユアサ(6674)に立ち入り検査に入った。

 三菱自(7211)のEV(電気自動車)やホンダ(7267)のHV(ハイブリッド車)にも使われているGSユアサのバッテリーが疑われているわけだが、バッテリーの専門家の間では「?」マークがささやかれている。

 「リチウムイオン電池は熱暴走のリスクがあるが、普通の熱暴走なら今回のような丸焦げには普通ならない。だから当初から、原因は過充電ではないかと指摘されていたのだ」

 もし過充電が原因であれば、バッテリーの責任ではない。バッテリーの充電や放電を管理する電源管理システムや、充電器の問題になる。B787の電源管理システムは仏タレス社が担っている。充電装置は英国のセキュラプレーン・テクノロジーが製造しているという。両社への立ち入り検査をせず、真っ先にGSユアサに入ったことは、専門家から見ると不思議な対応なのだという。

 今回のトラブルに関しては、バッテリーはもちろん、電源管理システムの欠陥の可能性も低いともみられている。もし欠陥があれば、B787全機にトラブルが起きるはず。だとすれば製造時、もしくはメンテナンス時の配線ミスの可能性が考えられる。

 その中、国交省の運輸安全委員会は23日、「過充電の形跡はなかった」と公表した。しかし、この見解に対しても専門家は疑問を呈す。

 「フライトレコーダーのデータは電圧のみ。電圧はそのままで電流が流れ続ければ電池は過熱し、燃える。また、配線ミスがあれば、そもそもデータ自体に信用性はなくなる」

 B787はボーイング社が威信をかけて開発した戦略機。米政府もボーイングには期待をしている。そこに冷や水が掛かるようなトラブルが発生。本来はボーイングの責任がまず問われるはずだが、その目をそらさせるかのように、GSユアサのバッテリーがターゲットとなっている。その辺が専門家から見ると、うさんくさいというのだ。

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