小売り業界を巡る2つの焦点

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消費増税で食品スーパー再編――アクリシアルなどに注目

■前回はデフレの入り口、今回はインフレの入り口

アクシアル(8255) 週足

アクシアル(8255) 週足

いよいよ消費税率アップ。消費増税は個人消費を直撃し、小売りも思わぬところが倒産したり閉店したりする可能性が指摘されている。前回1997年の消費増税ではマイカルなどの息の根が止まったわけだが、今回は(1)在庫問題を抱える企業、(2)労働条件が厳しい企業、(3)売上高営業利益率が1%を切っている企業――などが頓死候補に挙がる。

1997年と経済環境が異なることも見逃せない。当時は、デフレの入り口にあり、企業は利益が出なければ、人件費や固定費を下げることで利益を捻出(ねんしゅつ)できた。

一方、今回は人件費や物流費などのコストに上昇圧力が掛かり始めたところで、コスト圧縮による利益捻出余地は限定的。新手の決算操作でしのぐ企業も出てこようが、それはさておき、消費増税に伴う顧客獲得競争激化によって、破たん、吸収合併が増えると予想されている。

■“小大名乱立”の食品スーパーに再編の波か

今回の消費増税をきっかけに業界再編が起こると目されているのは、「食品スーパー」。

この業界はイオン(8267)セブン&アイ(3382)、南下政策を進めるアークス(9943)などを軸にこれまでも吸収合併が行われてきたが、「イオンやセブン&アイの傘下に入るとのまれるから嫌だというオーナーは多い」(市場関係者)こともあり、ほかの小売り業態に比べ集約化度合いは低く、“各地に小大名が乱立”している状態が続いている(参考までにドラッグストアは上位10社の市場占有率は6―7割)。

そこそこの経営者でそこそこ若い人が食品スーパー業界にあまりいないことも業界再編が進まなかった一因に挙げられていたが、ここにきて頭角を現してきている企業がある。アクシアル リテイリング(8255)だ。

同社は新潟地盤の「原信」と「ナルス」が統合して発足し、昨年は群馬地盤の「フレッセイ」と合併した。顧客満足度の高い普段使いスーパーを目指しており、業績も良好。

社名のアクシアル(axial)は「軸の」という意味で、小売りの「新しい軸」になるという意味が込められている。経営者は40歳代とまだ若く、さらなる合併にも意欲的で、今後注目される可能性がある。

コンビニ2015年問題――人手不足感も背景

■2015年以降に潮の目変化?

さらに来年2015年以降、近年大量出店攻勢をかけているコンビニ業界も転機を迎える可能性があるとの指摘が聞かれる。

ユニーGHD(8270) 週足

ユニーGHD(8270) 週足

例えば、業界トップのセブンイレブン。同社は2000年ごろから大量出店に乗り出した。近年は不動産を持たない人でもオーナーになれる「C型」と呼ばれるタイプの出店がメーンだが、オーナー契約は「15年」でひと区切り。

2000年当時、週6日8時間労働でオーナー夫婦の手取りは1,000万円だったが、「現在は廃棄ロスを最大要因にオーナー夫婦の手取りは500万円程度に半減。今後、オーナーをやめる人が出てきてもおかしくなく、15年以降、店舗数が伸び悩むおそれがある」(市場関係者)という。

■ユニー傘下のサークルKサンクスに触手?

こうした問題を解決する1つの手法として言われているのが、財務が厳しいユニーグループ(8270)から子会社サークルKサンクスを取得して看板を架け替え、シェアを保つというもの。セブンイレブン以外のコンビニなども買い手に名乗りを挙げる可能性も指摘されている。24時間営業の小売りなどで人手不足感が出てきていることも、こうした買収の可能性が浮上する背景。

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