特報 日本マクドナルドHD 復活に厳しい道程 シニア向け等での開拓できるか

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日本マクドナルドホールディングス(2702・JQ)が2月18日、社長交代を公表した。2004年から社長兼会長職にあった原田泳幸氏は会長には留まるが、新社長にはカナダ人のサラ・カサノバ氏が就く。既に昨年8月の時点で中核会社の日本マクドナルドの社長に就任していたので、規定路線と言える人事である。

マクドナルド(2702) 月足

マクドナルド(2702) 月足

原田氏が、業績が悪化していた日本マクドナルド社長に就任したのは04年2月。日本NCR、横河・ヒューレット・パッカードなどを経てアップル日本法人の社長を務めた人物で、就任早々米国流の経営モデルを日本マクドナルドに持ち込み、経営改革を進めたことで知られる。

就任初年度の04年12月期から8期連続で既存店売上高前年比プラスを達成、デフレ時代の勝ち組の象徴だった――というのが原田氏を形容する際によく用いられる表現である。

だが、12年12月期、先日公表された13年12月期と2期連続で既存店がマイナスとなり、連結業績も2期連続で減収減益。特に営業利益は前期の半分以下。原田氏はその責任をとるというところなのだろう。

もっとも、原田氏の社長就任後も09年12月期からは減収だったのだが、この間営業利益の方は増益が続いていたのは、店舗のFC(フランチャイズ)化を急速に進めたことで、営業利益率が上がったことによる。

下の表は日本マクドナルドの上場以来の業績推移を集計したもの。日本マクドナルドは1971年7月に、銀座三越の1階に1号店をオープンさせているが、JASDAQへの上場は意外に遅い2001年7月。ちょうど満30年での上場だった。

日本マクドナルドと言えば創業者の藤田田氏を思い浮かべるのは50歳以上の世代だろうが、上場当時は藤田田氏が社長を務め、子息の元氏が取締役だった。

だが、業績のピークは上場2期前の1999年12月期。売上高こそ3,285億円と、2000年12月期よりも低かったが、営業利益は307億円。この過去最高営業益は原田時代にも破られていない。

直近の13年12月末時点での店舗数は直営1,013、FC2,151で合計3,164だったが、01年12月末時点では直営が現在の3.8倍の3,822、FCは現在の半分以下の923で、合計店舗数は現在の1.5倍あった。

当然直営店は売上高と売上原価が両建てで立つので、ロイヤルティー収入だけのFCに比べれば決算上の利益率は下がる。FC比率が上がれば上がるほど利益率は上がる。

直営をどんどんFCに転換させていけば、既存店の数はどんどん減る。不採算の直営のスクラップを積極的に実施すれば優良店のみになっていくし、FC転換した店の収益が悪化しても、本体へのロイヤルティー収入が減る原因にはなっても、収益悪化の影響そのものからは隔離される。原田氏、ちょっとホメられ過ぎだったのでは、と言ってみたくなる。

ちなみにこの会社、上場当時から米国のマクドナルド本社が5割超の株式を保有している。外資系なのに配当はずっと30円の安定配当とは珍しい、と思って配当性向を計算してみたところ、配当性向が3割を下回ったのはたった1期しかない。安定配当の方が株主にとって有利な業績推移だったので、外資系でありながら安定配当という珍しい配当方針が許容されてきたのだろう。

新社長のカサノバ氏はマクドナルドのマレーシア・シンガポール担当から日本法人社長に転身した人物だ。近年減少していた家族客の呼び戻しなどを打ち出しているようだが、このところ息を吹き返した外食の復活のカギはシニアである。シニア向けのメニューを増やし、早朝から営業をしているファミリーレストランは、元気で行動的で早起きなシニアで大いににぎわっている。

食後に胃もたれがするため、筆者がマクドナルドに行かなくなって、もう十数年になる。年齢が上がるとハンバーガーはしんどくなる。日本人はアメリカ人のように、死ぬまでハンバーガーを食べ続けられる人種ではない。さりとて日本独自のメニューを米国本社がどこまで許容するのかはよく分からない。シニア向けのメニュー提供が不可能なら、復活した外食の成功モデルに倣うことはできない。

それなら若年層のファミリーを狙うのだとしても、いまどきは世の母親たちが、本来は大人が行く店だったはずのスターバックスに、子連れでやって来る時代だ。母親がマクドナルドよりもスタバに行きたければスタバに行ってしまう。

上場来最高の株価は上場から3日目に付けた5,080円。現在の株価は上場時の公募価格4,300円にもほど遠い。復活の道のりは決して平坦ではない。

日本マクドナルドの業績推移

日本マクドナルドの業績推移(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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