特報 リソー教育の「売上高過大計上」問題 前監査法人は監査を降りていた

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悔やまれる内閣府令改正の1年のズレ

2月13日、リソー教育(4714)の第三者委員会報告が公表された。6年半にわたって売上高83億円を過大計上していたというもので、粉飾発覚のきっかけは証券取引等監視委員会の調査が入ったことにあるという。

リソー教育(4714) 週足

リソー教育(4714) 週足

売上高が過大計上されていた決算期は2008年2月期から14年2月期第2四半期まで。リソー教育は1998年12月の上場なので、99年6月期から現在までの業績を集計してみた。

ご覧の通り2008年2月期と、14年2月中間期は赤字を黒字に誤魔化していたことになるので罪は重い。さらに、12年2月期は本来債務超過だったわけだから、さらに罪は重い。

売上高や営業利益に比べて資産規模が小さい、いわゆる資産効率の良い会社なので、もともとPBR(株価純資産倍率)は高水準だが、こうして修正後の純益でPERやPBRを計算しなおしてみるとかなりの異常値になる。

また、昨年7月には海外での公募増資で46万株の新株を発行する一方で、公募による自己株処分を14万株分実施し、総額約45億円の資金調達を実施している。このときの発行価額は7893円。参照決算期は訂正前の13年2月期。過去最高益をひっさげての調達だった。この調達への影響も大きいはずだ。このときの応募株主がなにがしかのアクションを起こす可能性は否定できない。

そして粉飾といえば監査法人。6年半にも及ぶ粉飾を見逃していたのはどこか、ということになるのだが、リソー教育の監査を担当していたのは、上場時から07年2月期までが新日本監査法人。そして問題の08年2月期以降担当してきたのが九段監査法人。

第三者委員会報告には、新日本は05年以降、何度も売り上げの過大計上を指摘し、その都度修正させてきたということが記されている。07年2月期で新日本が監査を降りたのも、会社の体質改善の試みは見られるものの、実際に改善されるかは不透明だとして降りたとある。

だが、07年4月26日にリソー教育が開示したリリースでは、監査法人交替の理由はお決まりの「任期満了」である。

新日本から九段にどの程度の引き継ぎがされたのかは報告書には記載がないが、九段は経営陣から、新日本が降りた理由とともに、「粉飾は経営者が主導したものではなく、ブロック長らが売り上げノルマ達成のために行ったもの」という説明を受け、改善策の提示も受けたので引き受けたとある。

こういったいきさつ故か、九段も就任早々から指導に次ぐ指導を重ねたことが見て取れるが、それでも83億円もの見逃しがあったということだから、会社がその気になって隠そうとすればこうなる、ということなのだろう。

これだけの指導を実施しているので、監査法人はどちらも無罪放免だろう。だが、投資家はそれでは納得がいかない。新日本が監査を降りたときに、新日本から交替理由の開示があってしかるべきだったのではないか、という疑問もわくのだが、実は監査法人が交替理由を開示しても守秘義務違反に問われないことになったのは、08年4月に企業内容の開示に関する内閣府令が改正されて以降だ。改正が1年早ければという思いは禁じ得ない。

リソー教育の業績推移

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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