話題銘柄をテクニカルで斬る 快速に走る軽自動車のエネルギー、自動車株価から増税後のデフレ脱却度合いを見る!

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自動車は日本の基幹産業。鉄鋼、化学、電機などの業績も自動車の影響大だ。その新車販売で、鉄も合成樹脂などの使用量の少ない軽自動車が好調を持続している。そもそも乗用車の価格は、デフレとは無縁だった。今でも普通乗用車を購入しようと考えれば、車体価格は200万円前後で、非正規雇用者の年収と同等水準だろう。物価の優等生ではなく、デフレの優等生が完成車メーカーだろう。

昨年年初から近隣の中古車ディラーを見て回ると、数年前はセダンやワンボックス、ステーションワゴンが広い展示場を占有していたが、今では軽自動車ばかりが目立つ。セールスに聞くと「セダンやワンボックスは人気が無く、売場効率が悪いから売らない」という。しかし、軽自動車、とくにパールホワイトとブラックの塗装は年代を超えて人気が高く、普通車のセダンやワンボックスよりも高値で売れるという。軽自動車は生活防衛の「要」の指標。とりわけ、鉄道など交通インフラの少ない地方都市、市町村では一家で3台、4台の軽自動車も珍しくない。

今後、日銀の追加緩和で円安が進めば、ガソリン価格も一段と値上がりする可能性がある。軽自動車ならタンクをほぼ満タンに給油しても、現状、レギュラーで7,000円前後だが、普通車なら、その2倍以上か。消費税増税前の駆け込み需要で、新車販売は堅調に推移している。しかし、4月以降の反動減は確実とみられ、さらに消費税率が10%と現在の2倍になる2015年10月以降はどうだろうか。ガラス板、合成樹脂や特殊鋼、ハーネスなど自動車材料、機構部品などの値上がりを受けて、完成車の車体価格も値上がりする。軽自動車よりも、ボディが大きく構造部品点数も多い普通車の車体価格はどうなるだろうか。

さて、13年の新車販売台数は、各社の新車投入が相次ぎ12年比0.1%増の537万台となった。うち軽自動車は同6.7%増の211万台と06年の202万台を上回り過去最高を更新した。14年1月の車名別新車販売ランキングを見ても、ホンダの小型車「フィット」が4カ月連続で1位。2位、4位にトヨタの「アクア」「プリウス」が入り、3位はダイハツの「タント」、5位、6位はホンダの「N-WGN」「N-BOX」、7位にスズキの「ワゴンR」、8位に日産の「デイズ」、9位、10位はダイハツの「ムーブ」「ミラ」と上位10車種のうち7車種は軽自動車である。

円安の為替差益の恩恵もあり上方修正が目立つ自動車各社の14年3月期業績見通し。当然、安倍政権の経団連への要望もあり、春闘で来期からの賃上げが濃厚なのは自動車メーカーだが、最高益見通しのトヨタ自動車でさえ「業績改善は一時金で報いるの筋」として、先行き懸念から賃上げには慎重である。賃上げは労務費、製造原価の上昇であり、粗利益率低下に直結するからだ。セダン、ワンボックスなど普通車の日産自動車(7201)、トヨタ自動車(7203)と軽自動車のダイハツ工業(7262)、スズキ(7269)の株価(維持費の安い軽自動車と高い普通車)から軽自動車の行方、デフレ脱却(単価の高い普通車が軽よりも売れる)、個人消費の強さを見たい。株価データは、1997年の消費税増税の期間も踏まえ90年来の年足のローソク足で分析する(2014年は2月7日まで)。結論は、各社とも高値更新の勢いに欠けるが、消費税増税後も軽自動車販売は緩やかに伸長するということ。他方、普通車が売れなければ、デフレ脱却は微妙ということ。

日産自動車(7201) 上昇エネルギーは弱いも押し目狙い

7201年足は、バブル経済崩壊の1990年とリーマン・ショックの2008年に非常に長い大陰線を形成。内外の大きな景気変動の影響を端的に示している。1997年の消費税率引き上げの年も95年から98年まで4年連続の陰線になり、98年10月には290円の安値を付けた。そこから2007年1月に1,557円まで上昇、09年2月に安値261円と振幅の大きい動きである。現状、14年の年足は、1989年6月の高値1,700円と261円の下落幅の半値戻し水準980円が高値を抑えている。2013年の長い上ヒゲ陽線から、上昇エネルギーは弱いが、14年の下値支持は810円(38.2%)である。押し目買い。目標値は1,020円(1996年6月高値)。

トヨタ自動車(7203) 13年高値が上値抵抗で様子見

7203年足は、1992年3月に下ヒゲ陰線の安値1,260円を付け、16年後の2007年2月に高値8,350円まで上昇してピークアウト。08年は07年同様に記録的な長大陰線で、12月に安値2,585円を付け、09年から12年まで、年足はこの安値を下値支持として下げ止まった。他方、上値は4,000円(1,260円から8,350円までの上昇幅の61.8%押し水準3,968円)が抵抗ラインとして機能。13年に入り、相場付きは一変、4,000円を下値に大陽線で6,760円まで値上がり。14年の年足は13年の年足の範囲内の陰線。6年サイクルの高値で三尊天井形成の公算もあり様子見。値上がり幅の38.2%押し水準の5,641円で打診買い。目標値は節目の6,500円。

ダイハツ工業(7262) 6年連続の陽線期待し時価買い

7262年足は、1992年8月の安値261円を起点に長期上昇相場で2013年5月に高値2,300円と大化け。途中、消費税引き上げの1997年、98年に陰線を形成したが、400円が下値のネックラインとして機能し反発。リーマン・ショック翌年の2009年から13年にかけて5年連続の陽線を形成。14年の年足は下値が上昇幅(261円から2,300円)の38.2%押し水準1,521円を下値支持として下げ止まり。時価買いだが、13年が長い上ヒゲ陽線となったため目標値は1,900円。

スズキ(7269) 大陰線からのリカバリーに乗る

7269年足は、1991年1月の安値579円を起点に2007年11月に高値3,790円まで値上がり。この間、年足は消費税増税前の1996年に陰線だが、97年、98年、99年と陽線を形成、増税後は堅調だった。しかし、2008年のリーマン・ショック時は、他社に見られないような大陰線で12月に1,037円の安値を形成。翌09年に陽線で反発も半値戻しで勢いにかけた。14年に高値2,982円を付けたが、依然、大陰線の枠内だ。下値メドは上昇幅(579円から3,790円まで)の38.2%押し水準の2,540円。2,600円接近で買い。目標値は大陰線を視野に3,300円。

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