取材の現場から ビッグローブは日本産業パートナーズが落札

個別 取材の現場から 連載


買収価格700億円と株式上場思惑

NEC(6701)は、子会社でインターネットのポータルサイトを運営するビッグローブの売却入札を行い、みずほ(8411)系の投資ファンド「日本産業パートナーズ」が落札した。3月末までに株式を譲渡するという。

NEC(6701) 週足

NEC(6701) 週足

日本産業パートナーズは事業再生ファンドなので、自らがインターネット事業を展開するわけではない。そのためビッグローブを、富士通(6702)系のニフティ(3828・2部)や、ソニー(6758)系のソネットに転売するのではないかなどと報じられている。

しかし、そうした見方をNECの関係者は否定する。

「今回の入札では、ビッグローブの年間収益を50億円としていた。そのため、入札価格は10年間の利益、つまり500億円が上限になるだろうとNECは想定していた。ところが、日本産業の買収価格は700億円だという。転売するならこの額以上でないと損が出るが、そんな価格で買うところがあるとは思えない。だから、ビッグローブの転売はあり得ない。」

関係筋によれば、入札に参加した伊藤忠(8001)は450億円、住友系投資ファンドのライジング・ジャパン・エクイティは400億円を提示したと伝えられている。確かに両社とも、10年収益500億円を想定していたとみえる。それと比べると、日本産業の入札価格は高額だ。

今回の入札では、ポータルサイト「エキサイト(3754・JQ)」を経営する伊藤忠が本命とみられていた。エキサイトと統合させれば、NTT系のポータルサイトと競争できる大手の地位を得られる。そうした量の効果を伊藤忠は狙っていたというわけだ。

「ビッグローブ内部では売却にあたり、自主経営路線を模索していた。しかし、伊藤忠が落札するとエキサイトに吸収されてしまい、自主経営どころか、社員はリストラされかねない。そこでビッグローブ側が日本産業にアプローチし、ヤフーのように高額な上場益を目指すスキームを提示したのではないか」とみられている。

もちろん、観測の域を出ない見方だが、単純に売却するのでは700億円の買収額を回収はほぼ不可能。だとすれば、確かに、残る選択肢は株式上場ぐらいしかない。

このシナリオなら、ビッグローブは本当の自主経営体制を勝ち取れる。もちろん高額の売却益を得られるNECも反対するわけがない。ただ、ヤフーのようになるのかどうか…。

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